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56話 サンライズ王国の武と叡智

 途中で魔物や盗賊に遭遇することもなく、旅は順調に進んだ。

 そして、問題なくサンライズ王国に到着する。


「うわー、ここがサンライズ王国なんだね!」


 馬車の窓から外を見たシロ王女が楽しそうな声をあげた。


 今、馬車は街中をゆっくりと走っている。

 おかげでサンライズ王国の街並みをしっかりと確認することができた。


 基本的な建物の構造はフラウハイム王国と変わらない。

 隣国なので、技術が共有されているのだろう。


 ただ、街の周囲にある、魔物の侵入を防ぐ防壁はフラウハイム王国と比べると高い。

 二倍くらいの差があった。


「サンライズ王国は山に面しているからね。冷たい風が降りてくるから、それを防ぐためでもあるんだよ」


 と、ブリジット王女が説明してくれた。


 そうこうしている間に馬車は城門を潜り、城の中へ。

 そのまま中庭に移動したところで止まる。


「ようこそ、サンライズ王国へ」

「お待ちしていました」


 馬車を降りると、一組の男女が迎えてくれた。


 共に二十歳くらいだろう。


 男性は眼鏡をかけていて知的な印象を受けた。

 体は細身。

 あまり運動をしないタイプなのか、筋肉がついていない感じだ。


 ただ、不健康というレベルじゃない。

 彼はきっと、運動よりも本が好きなのだろう。


 女性は童顔だ。

 背は低く、体のラインも凹凸が少ない。


 それでも二十歳に見えたのは、彼女の雰囲気が関係していた。

 子供がまとうものではなくて、大人だけが得ることができる落ち着いたもの。

 余裕があって、自分に確かな自信を持つ。


 そんなオーラを持っているため、彼女もまた、二十歳に見えたのだ。


「お久しぶりです、ジーク様、ネネカ様」

「ご、ごきげんよう」


 ブリジット王女が礼をして、シロ王女も慌ててそれに続いた。

 そんなシロ王女を見て、男性が不思議そうな顔に。


「おや? そちらの方は……」

「はい。私の妹で、フラウハイム王国、第三王女のシロ・スタイン・フラウハイムです。予定外の事態で彼女も同行することになり……事前の連絡から漏れてしまい、申しわけありません」

「なるほど。いえ、身元がしっかりしているのなら問題ありませんよ。はじめまして、シロ王女。僕は、ジーク・ビアンコ・サンライズ。サンライズ王国の第一王子です」

「私は、ネネカ・ビアンコ・サンライズ。第一王女です。ちなみに、私達は双子なんですよ」


 なるほど。道理で顔立ちがとてもよく似ていると思った。


「は、はじめまして! シロ・スタイン・フライハイムですっ! サンライズ王国の武と叡智に会うことができて、光栄です!」


 シロ王女も挨拶を返した。

 やや硬いものの、この歳でこれだけしっかりした挨拶ができるのなら合格点だろう。


 しかし、サンライズ王国の武と叡智というのは……?


「……ジーク様は武力に長けていて、ネネカ様は深い知識を持っているの」

「……ありがとうございます」


 そっと、ブリジット王女が説明してくれた。


「まずは旅の疲れを癒やしてください。ブリジット様とシロ様を部屋に案内しろ。それと、護衛の方々も」

「失礼のないようにね」

「「「はっ!」」」


 サンライズ王国の騎士達に案内されて、それぞれ、客間に移動した。


「……すごいな」


 俺や護衛の騎士達に与えられた部屋はとても広い。

 しかも家具や調度品が備え付けられていた。


「こんな豪華な部屋に泊まることができるなんて、すごいな」

「豪華……でしょうか?」

「ごくごく普通に思えるのですが……」


 護衛の騎士達が首を傾げた。

 そんなに豪華ではないだろう、という感想みたいだけど……

 いやいや、その感想はおかしい。


「豪華ですよ。家具や調度品がついていて、しかも、人数分のベッドがある。素晴らしいことじゃないですか」

「私達も客人となるので、当たり前の対応だと思いますが……」

「いえいえ、そんなことはありませんよ。俺が帝国にいた頃は、馬小屋で寝かされていましたからね。屋根がない、朽ちた小屋なんてことも多々ありましたから」

「それは、帝国が特殊なだけでは……?」

「くっ、アルムさんの昔話を聞くと涙が……!」


 なぜそんな反応に……?




――――――――――




「うーん」

「どうしたの、アルム君?」


 バルコニーに出て外の空気を吸っていると、ブリジット王女が姿を見せた。

 こちらの様子を見に来たのだろう。


「いえ、ちょっと考え事をしていまして」

「どんなこと?」

「帝国にいた頃の話をしたら、みんなが微妙な反応を見せたのですが……もしかして、もしかすると、帝国にいた頃を基準にする俺はおかしいのでしょうか?」

「……やっと気づいてくれたんだね」


 とても感慨深い様子で、ブリジット王女は天を仰いだ。


「おかしい、おかしいよ。アルム君はとてもおかしいの。でも、そのことをまったく自覚していなくて……あー、やっと少しは自覚してくれたんだね。お姉さん、嬉しい」

「俺とブリジット王女に血の繋がりはないですよ?」

「やめて。ボケに真面目で返さないで。恥ずかしくなっちゃう」

「???」

「と、とにかく……アルム君の昔の環境はおかしい、っていうことを自覚してくれたら嬉しいな」


 認識に違い、差があるのならそれを埋める必要はある。

 しかし、どうしてブリジット王女が喜ぶのだろう?


 それを聞いてみると、


「もうちょっとわがままになってほしいかな、っていう感じ」


 よくわからない答えが返ってくるのだった。

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