47話 愚者の信頼
「また失敗……!」
部下の報告を聞いて、リシテアの機嫌が一気に急降下した。
フラウハイムの貴族と通じて、事件を起こさせることで王国の国力を低下させる。
そんな嫌がらせを企んでいたのだけど、ついさきほど、失敗したという報告がもたらされた。
リシテアは怒りの形相で扇を握りしめた。
「落ち着いて」
そんな彼女をなだめるのはライラだ。
「でも、ライラお姉様!」
「今回の計画、失敗は想定内よ。むしろ、失敗することを前提に動いていたの」
「そう……なの?」
どうしてそんな計画を?
という感じで、リシテアが小首を傾げた。
「今回の目的は、王国の国力低下がメインじゃないわ。カイド・ユースツネルとコンタクトを取り、さらに、そこから様々な人脈を得ることにあったの」
「えっ」
「カイドは、いわば連絡役ね。彼とコンタクトを取り、色々な情報を交換したことで、王国内にさらに無数の味方を作ることに成功したわ。そちらの方が重要よ」
「すごいわ……さすが、ライラお姉様! そんなことを考えていたなんて」
「ふふ」
ライラはにっこりと笑い……
そんなわけないでしょう。
心の中で嘲笑う。
リシテアの無知、無能を笑う。
皇女の従姉妹という手前、リシテアの望みを叶えるように動いている。
フラウハイム王国に秘密のルートを作ったことは本当だ。
ただ、それが本来の目的ではない。
帝国の情報を流すことで、王国内にライラの味方を作る。
そして、いざという時は味方をしてもらう。
それが本来の目的だ。
一言で言うと、ライラは売国者だ。
帝国の血をわずかではあるが引いているが、しかし、帝国のために尽くそうとは思っていない。
当たり前だ。
皇帝と皇妃は娘に甘く、好き放題にさせている。
リシテアはその権力を当たり前のものとを思い、民のために尽くそうとは欠片も考えていない。
今のところ国としての形を保ち、栄華を極めているように見えるが……
スラムが拡大する、兵力が減少する、新しい技術が開発されることはない……などなど。
衰退の影は見えていた。
それに、リシテアは気づかない。
皇帝も皇妃も気づかない。
民もまた、気づかない。
なんて愚かな国なのだろう。
ライラは、心底、帝国を軽蔑していた。
そして、上に立つリシテアも軽蔑していた。
同じ血が流れていると思うと恥ずかしい。
今すぐに全身の血を抜いて、まったく別の血と入れ替えたいくらいだ。
アルムがいた頃は、この子なら帝国を変えてくれるかも、と期待したのだけど……
しかし、リシテアに追放されたという。
それで、完全に見限ることにした。
独自の戦力を作り。
他国とのパイプを強化して。
ライラは反乱を企てていた。
「ライラお姉様がいれば、きっと、帝国の将来は明るいわね!」
ライラの思惑を欠片も理解していない、気づいていないリシテアは、呑気に笑う。
彼女がライラの裏切りを知れば、酷く悲しむだろう。
涙を流して、絶望すら覚えるかもしれない。
でも、それがどうした?
と、ライラはまるで気にしない。
リシテアはその権力を盾に好き放題やってきた。
彼女の非道な行いに涙した者は少なくない。
というか、星の数ほどいる。
その報いを受ける時が来たのだ。
「一緒にがんばりましょうね、ライラお姉様!」
「ええ、そうね」
ライラはにっこりと笑い……
次は、アルムとコンタクトをとってみよう、と考えるのだった。
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