45話 やってしまいなさい!
「アルム君、皆殺しにしてやりなさい!」
「了解です」
俺はブリジット王女の命を受けて、短剣を手に……
「いやいやいや、今のはツッコミ待ちだからね!? 冗談だからね!?」
「紛らわしいことをしないでください」
「アルム君、一切迷いがなかったよね……」
「相手はゴミですから」
「時々、容赦ないよね。まあ、気持ちはわかるけど、法で裁こう。というわけで、適度にこらしめてあげて」
「了解」
短剣をしまい、徒手空拳で立ち向かう。
一人目の懐に潜り込み、腹部を拳で撃つ。
鎧が拳の形に陥没して、兵士はそのまま吹き飛んだ。
「なっ!? て、鉄の鎧を拳で……?」
「ええいっ、ならばこれならどうだ!」
剣が振り下ろされるけど、
「なぁ!?」
人差し指と中指で挟んで止めた。
東の国に伝わる『真剣白刃取り』という技……いや、ちょっと違ったような?
掴んだまま手首を回転させて、剣を絡め取る。
無防備になった兵士の顎を蹴り上げて、骨を砕き、戦闘能力を奪う。
しばらくは固形物が食べられないかもしれないが……
刃を向けたのに殺されないだけマシだと思ってほしい。
「これならば……」
「どうしようもないはずだ!」
三人の兵士が同時に斬りかかってきた。
それぞれのフォローをするように、斬撃で空間を埋める。
敵の逃げ場を奪う、悪くない攻撃だ。
でも……まだまだ甘い。
「避けただと!?」
それぞれの攻撃タイミングがズレているため、しっかり見れば避けることは難しくない。
剣と剣の間をすり抜けて、刃がすぐ目の前を通り抜けていく。
そして反撃。
それぞれ膝を蹴り、砕いて、機動力を奪う。
良い医師に恵まれれば、また問題なく歩けるようになるだろう。
それ以外の場合は知らない。
中には脅されて仕方なく戦う兵士もいるだろう。
しかし、自分に降りかかる不幸を跳ね除けるために、他人を不幸にしていい道理はない。
なればこそ、俺が容赦ないカウンターを繰り出すのも正当な権利なのだ。
「魔法だっ、魔法で狙い撃て!」
「ありったけの矢も浴びせてやれ! 守りながらは無理なはずだ!」
敵は魔法と矢の雨を降らせてきた。
俺の背後にはブリジット王女。
避けたらどうなるか、という狙いがあるのだろう。
なるほど、理に適っている。
ただ、その攻撃は失敗だ。
「火よ、我が意に従いその力を示せ。ファイアクリエイト!」
「バカな!? たった一人の魔法が、俺達十人分の魔法を押し返すというのか!?」
続けて拳を振る。
「なぁっ……!? あれだけの矢を拳圧だけで弾き返すだと!?」
「これくらい、日々の訓練でどうにかなる」
「そんなもの、どうにかなるわけが……ぐあっ!?」
「そ、そんなふざけた攻撃が……うあああああ!?」
近くにある柱を引っこ抜いて、それを振り回した。
兵士がばったばったとなぎ倒されていく。
やっぱり、大勢を相手にする時は巨大な武器を使うに限るな。
柱は最強だ。
「いやいや……それ、武器じゃないからね? 柱だからね?」
「細かいことは気にしないでください」
「細かいかな? いやー、うーん……」
ブリジット王女がドン引きだけど、気にしない。
敵を倒せばそれでいい。
その後も、カウンターを決めて。
大質量の武器を叩き込んで。
一人ずつ、兵士を確実に減らしていく。
そして、3分後。
「掃討、完了」
全ての兵士を地面に沈めた。
パンパンと服についた誇りを払う。
「ブリジット王女。オーダー、完了いたしました」
「うん、ありがとう」
「なっ、ななな……なぁ!?」
「あわわわっ……」
カイドとアランという悪人達は、目の前の光景が信じられないという様子で震えていた。
「ば、バカな……120人の兵士が、たったの3分で全滅だと……?」
「あ、ありえない、人間業じゃない……」
「さて、と」
ブリジット王女は震える二人の前に立つ。
そして、にっこりと極上の笑みを浮かべた。
「覚悟はいいかな?」
「「ひぃいいいいいっ!?」」
――――――――――
その後……
アラン・エグゼシアとカイド・ユーツネスルは逮捕されて、裁判までの間、牢に閉じ込められることになった。
ただ、本人達は満足しているようだ。
「私達を外に出さないでくれ、外にはあの怪物がいる!」
「ここに匿ってほしい、牢でもなんでもいいから、守ってくれ!」
……などと懇願しているとか。
二人の言う怪物が誰のことなのか、まあ……深くは考えないことにするのだった。
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