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323話 情報提供ありがとう

「……首尾は?」

「ターゲットは、あと少しで目標地点です」

「護衛がいるな」

「問題のない数かと」

「だな。俺達なら、あれくらいは問題ない」

「行きますか?」

「もちろんだ。リスクはあるが、しかし、こんなに稼ぎのいい仕事はない」


 日の差さないような裏路地。

 ささやくような声で会話をする二人組の男。


 そして、さらにその奥に複数の人影。

 いずれも影に潜むように身を潜めている。


 その身から発せられるのは獣のような鋭い気配。


 乱暴で。

 威圧的で。

 そして、血の匂い。


 一目で一般人でないとわかる。


 故に……


「排除する」


 容赦なく攻撃することができた。


「がっ!?」

「ぎゃ……!?」


 話をする二人組は無視。

 その後ろに潜む男達を狙い、建物の上から飛び降りて、頭部を蹴りつけた。


 単純に蹴るのではなくて。

 壁の方に向けて蹴る。


 結果、俺の足と壁に挟まれることになり……

 痙攣をしつつ倒れた。


 それなりの怪我を負っているだろうが……

 しかし、一国の王女とリットを狙ったのだから、同情の余地なんてない。


 敵は排除あるのみ。


「な、なんだ!?」

「敵だ! これは罠でぐぅ!?」


 先の二人組に狙いを戻して、一人の膝を踏みつけるようにして砕いた。

 体勢が崩れたところで、回し蹴り。

 側頭部を刈り取るようにして意識を奪う。


「ほいほい、っと。楽勝っす!」


 いつの間にかヒカリがいた。

 視認が難しいほどの速度で動いて、後ろに潜む男達の意識を次々と狩っていく。


「ブリジット王女とリットは?」

「他の騎士さん達に任せてきたっす。アニキなら、こんな連中、なんてことないっすけど……」


 男の顎を蹴り上げつつ、ヒカリが言う。


「街中なので、一応、自分も来た方がいいと思ったっす!」

「ナイス判断だ。助かる」

「やったー! アニキに褒めてもらえたっす!」


 笑顔のヒカリ。

 でも、その間も男達を殴り、蹴り、昏倒させている。

 さすが、元最強の暗殺者だ。


「こ、これは……」


 ほどなくしてリーダーらしき男だけが残る。

 あっという間に部下達を全滅させられて大きな動揺を見せていた。


「俺達をこうも簡単に……お前達はいったい……?」

「答える義務も義理はない」

「それよりも、あんたが傭兵団『ブラッディファング』のリーダーっすね?」

「……っ……」


 男の表情がわずかに変わる。


 普段ならうまく隠していたのだろうけど……

 動揺しているせいで、完全に感情をコントロールできなかったのだろう。


「どうして自分達のことを、っていう顔っすね。ふっふっふ。それも秘密っす!」


 種明かしをすると、情報源はセラフィーだ。

 傭兵には傭兵の独自の情報源があるらしく……

 その情報網に『ブラッディファング』という、盗賊とあまり変わらない傭兵団が不穏な動きを見せている、というものが引っかかったらしい。


 さすがに、いつ行動を起こすかまではわからない。

 今日のような徹底的な守護を続ける予定ではあったが……

 思っていたよりも早く動いてくれてなによりだ。


 おかげで、必要以上に警戒をしなくて済む。

 そして、情報を得ることができる。


「くっ……このままで終わると思うな。我ら『ブラッディファング』の真の力を見せつけて……」

「あー、そういうのはいいっすよ」

「がっ……!?」


 ヒカリは一瞬で男の背後に回り、そして一撃。

 気絶させた。


「えっと……」

「ああ、これで終わりだ」


 求められるような視線を受けて、頷いた。


 周囲に怪しい気配はない。

 敵意も感じられない。

 よからぬことを考えていた傭兵達はこれで全部だろう。


「俺はブリジット王女とリットの護衛に戻る。後は任せてもいいか?」

「はいっす!」

「それと、先にできる限りの情報も引き出しておいてほしい。なにをしても構わない」

「オッケーっす!」


 笑顔で頷くのだから、ヒカリもなかなかのものだ。


 ……こうして、ブリジット王女。

 あるいはリットを狙う悪漢を捕えることができた。

 もしかしたら、リットに関するなにかしらの情報を持っているかもしれない。


「色々と聞かせてもらおうか」

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