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281話 とある情報収集のやり方

 要塞に潜入して、一時間ほどが経っただろうか?


 今のところ攻略は順調だ。

 敵に見つかることはない。

 おそらく、小さな違和感も抱かれていないだろう。


 完璧な潜入。


 ただ、全てがうまくいっているわけではない。


 要塞の奥へ奥へ進んでいくのだけど、未だ、敵の兵器に関する手がかりは得られない。

 兵器を確保できなくても、なにかしらの情報が欲しいところだけど……

 しかし、それも難しい状況だ。


 いくらかの部屋で資料を漁ってみたものの、なにもなし。


 まあ、当然の話である。

 秘密の兵器の資料をわざわざ用意して、置いておくわけがない。


 俺達は、一度足を止めて、目立たない部屋で対策を話し合う。


「今のところ敵に見つかっていません。おそらく、感づかれてもいないでしょう」

「しかし、兵器に関しての手がかりはゼロでありますね……適当なところに置いておくなんてことはありえないので、奥に進むことは間違っていないと思うのでありますが」

「んー……そもそも、その兵器がどんな形でどんな大きさなのか、まったくわからないってのが辛くないかい? もしかしたら、ここに来るまでの間にあって、見落としている可能性は?」

「さすがに、それはないとは思いますが……」

「とはいえ、断言はできないでありますね」


 もどかしい。


 圧倒的に準備が足りない。

 情報も足りていない。


 おかげで、今、方針に迷ってしまっている。


 さて、どうするべきか?


 諦めるという選択肢は絶対にない。

 必ず兵器を奪取、あるいは破壊する。


 そのために必要なことは……そうだな。


「ここまで奥に進み、調査を進めてきましたが、それも限界ですね」

「同感でありますよ。長くじっくりと調査できるというのなら、それでいいのですが……」

「ボクらには制限時間があるからねえ。このままのんびりしていたら、ベルカがしびれを切らして、なにかやらかすかもね」


 最悪、兵器を使われてしまうだろう。


「そうなる前に手を打たないといけません。しかし、そのために必要な情報が不足している……」


 ならば、次に取るべき行動は一つだ。


「情報を手に入れましょう」




――――――――――




 要塞の中層部。

 二人の兵士が一組で行動して、要塞内の巡回を行っていた。


 なにかしらのトラブルが起きたわけではない。

 要塞を占拠してから、毎日、繰り返し行っていること。


 普通なら気が緩み、雑談の一つや二つ、飛び出してきそうではあるが……


「問題なし。クリアー」

「続けて、第三通路のチェックに行くぞ」


 兵士達が交わす言葉は必要最低限。

 手を抜くことはなくて、己の役目をしっかりと果たしていた。


 士気の高さ。

 それは、彼らがこの作戦に賭ける意思の強さも示していた。


 必ず帝国を取り戻してみせる。

 アカネイア同盟国なんていう、偽物は消してみせる。

 そう語っているかのようだ。


「……なあ」


 ただ、士気が高くても不安は残る。


「今回の作戦、うまくいくと思うか?」

「私語は慎め」

「少しくらい、いいだろう?」

「……不確定要素はある」

「だよな……例の兵器も、本当にあんなものを使っていいのか……」

「お前、将軍のすることに反対なのか?」

「将軍のことは信頼しているさ。ただ……それでもアレは、な」

「……まあな」


 二人の表情が苦いものになる。


「大義のためとはいえ、毒を使うのは……」

「解毒できない、完全な毒……兵器ではなくて、もはや呪いだな」

「そこまでのことをして……いや、すまない」


 一人が頭を振る。

 それは、迷いを断ち切るというよりも、なにも考えないことで疑問を忘れようとしているかのように見えた。


「つまらないことを言ったな、忘れてくれ」

「構わない。これくらいは……許されるだろう」

「そうだといいな」


 二人は巡回に戻る。


 ……その話を聞いていた者がもう一人、いるとは気づかずに。



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