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278話 ミッションスタート

「ふ、ふふふっ……キミは実に賢い子だ。うんうん、素晴らしいよ。ふへへへ」


 フェンリルを前に、パルフェ王女は人様に見せられないような顔をしていた。


 訓練が無事に完了して、パルフェ王女もテイムすることができて……

 それで、色々とハイになってしまっているようだ。


 心なしか、そんなパルフェ王女にフェンリルが嫌がっているような気がした。


「アルム殿、その……王女は大丈夫なのでありますか?」

「問題ありません。見た感じは、まあ……色々とアレですが。とはいえ、パルフェ王女の知識とテイムに関する能力は、王国一ですから」

「わかりました。アルム殿がそう言うのなら」


 リセは気持ちを切り替える感じで、軽く咳払いをした。


「では……行きましょう」


 全ての準備が整い。

 そして、ベルカ率いる帝国軍を討伐するための作戦がスタートした。




――――――――――




 帝国軍が占拠する要塞は山間部に建てられている。


 山の麓が入り口。

 鉱山のように山を掘り進めて。

 アリの巣のように、あちらこちらに道を繋げて。


 自然を最大限に利用した作りになっていた。

 強固な防御力を誇り。

 また、天然の迷宮として活用されていたという。


 戦争時は、一度も要塞を突破されたことがないという。


 先の革命でも、この要塞を落とすことはできず……

 周囲を包囲して動けないようにするのが精一杯だったとか。


 その間に、俺達が皇都を落としたわけだけど……

 もしも皇帝やリシテアが要塞に立てこもっていたら、敗北していたかもしれない。


 ……そんな要塞に潜入しないといけない。

 敵に気づかれることなく。

 敵の切り札も確保しないといけない。


 わりと無茶なミッションだ。

 とはいえ、泣き言は言っていられない。


 できる限りの準備はした。

 あとは全力を尽くすだけだ。


 さあ、いこう。




――――――――――




「……すごいですね」


 俺は、思わず感嘆の吐息をこぼした。

 隣を歩くリセも似たような感じだ。


「へへ、だろう?」


 パルフェ王女が得意そうに笑う。


 そんな彼女は、フェンリルの背に乗っていた。

 そして、安全な道を選ぶように指示をしている。


 フェンリルは、パルフェ王女の命令を完璧にこなしていた。


 要塞にたてこもる帝国軍は、無数の罠を設置していた。

 それだけではなくて、巡回をして監視の目を広げて。

 さらに、捕らえてきた魔物を放ち、多くの障害を用意している。


 強引に突破するなら可能だ。

 多少の損害で済むだろう。


 とはいえ、帝国軍……ベルカの持つ切り札がどのようなものかわからない。

 こちらの侵入を察知したら、報復として使用するかもしれない。


 なので、絶対に察知されるわけにはいかない。


 無理難題のミッションなのだけど……

 フェンリルの力がそれを可能にした。


 パルフェ王女にテイムされたフェンリルは、安全な道を見つけ出していた。

 罠を一目で見抜いて、巡回のルートを知っているかのように避けて、その身から放つオーラで魔物を寄せ付けない。


 すさまじい能力だ。

 正直、フェンリルがいなければ、俺達はあっという間に見つかっていただろう。


「本当にすごいでありますね……フェンリル殿がいなければ、自分達は、すぐに見つかっていたでしょう。ありがとうございます」

「オンッ」


 どういたしまして、という感じでフェンリルが小さく吠えた。


 周囲に気づかれないように、声量も気をつけている様子だ。

 本当に賢い。


「こいつとボクが絶対に必要っていう、ボクの言っていたこと、理解してくれたかい?」

「とても」

「ふっふっふ、あのアルムにそう言わせてやったぜい」


 パルフェ王女は得意そうに笑うのだった。


 実際、あのフェンリルをここまで忠実にテイムすることは不可能と思われるようなことで……

 さすがに、俺もこんなことはできない。


 これがパルフェ王女の力なのだろうな。

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