表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

275/275

274話 伝説と戦う・その1

「アォオオオオオンッ!!!」


 フェンリルは、高く吠えた。


 魔物とは思えないほど綺麗で。

 そして、力強い雄叫びだ。


 それが戦闘開始の合図なのだろう。

 四肢で大地を蹴り、フェンリルが突撃してきた。


 巨体のせいだろうか?

 そこまで速くはないが……


「アルム殿!」

「ええ、わかっています……失礼します」

「おや?」


 パルフェ王女を抱えて、大きく横に跳んだ。

 リセも、同じようにフェンリルから距離を取る。


 直後……


 ガガガガガッ!!!


 轟音を立てて、フェンリルの進路上にあった岩や大木が砕け散った。

 突撃の威力に耐えることができなかったらしい。


 嫌な予感は的中した。


 フェンリルの動きは、思っていたよりも速くない。

 しっかりと見て、それから回避することが可能だ。


 ただ、その身に宿す力はとんでもない。

 なにもかも飲み込んでしまう大津波のようで、触れたら最後、抗うことはできず押し流されて、そのまま巨大な力で粉々になってしまうだろう。


 想像以上だ。

 少し甘く見ていたかもしれないな。


「執事君、なんとかできるかい?」

「なんとかしてみせましょう」


 ひとまず、パルフェ王女を安全圏に退避させた。


 まあ、フェンリルを相手に、完全な安全圏というものはないだろうが……

 大きく距離を取るだけで、そこそこの安全は確保できるだろう。


 前へ戻り、リセと並んでフェンリルと対峙する。


「あの力は厄介でありますね……」

「必要以上に気をつけて、絶対に回避することを心がけましょう。攻撃は、本当に余裕がある時だけで」

「了解でありますよ」


 リセとタイミングを合わせて、フェンリルに突撃した。


 フェンリルは再び咆哮を響かせると、その場で回転して、鞭のように尾を払う。


 巨人が鉄の塊を持ち、暴れまわっているかのよう。

 直撃したら、即死。

 かすっただけでも、重傷は免れないだろう。


 俺とリセは下手に踏み込むのではなく、相手の動きを見てから、しっかりと距離をとり回避をした。


 やはり動きはそれほど速くない。

 対処は可能なのだけど……


「グルルル……ガァッ!」


 フェンリルは尻尾を器用に使い、何度も何度も叩きつけてきた。


 暴れる。

 暴れる。

 暴れる。


 大暴走だ。

 あまりにも派手に動いて、デタラメな攻撃を繰り返すものだから、タイミングを掴みづらく、なかなか接近することができない。


「本当に厄介だな……!」


 ついつい舌打ちしてしまう。


 ただ、諦めたわけではない。

 回避行動をしつつ、さきほどフェンリルが砕いた岩の破片を拾う。


 そして、タイミングを図り、拳くらいの大きさの岩の破片を投擲した。


 岩の破片がフェンリルの頭部を打つ。

 一瞬、怯んで……


「はぁっ!!」


 その隙を見逃すことなく、リセが剣を振る。

 刃が前足を切り裂いた。


「グルルルゥ……」


 フェンリルは暴れるのを止めて、警戒した様子で距離を取る。

 もしかしたら、傷を負わされるのは初めてかもしれない。


 適当に暴れ回るのは止めたらしく、低い警戒の唸り声をあげている。


 ……まいったな。

 こちらを侮り、雑に暴れてくれていた方が楽だった。


 しかし、こうなると対処が難しくなる。

 俺達がフェンリルの動きをしっかりと見て対処するように、ヤツも俺達の動きを見て、慎重に行動するようになるだろう。


 さて……どうする?


◆◇◆ お知らせ ◆◇◆

既存の作品を大幅に改稿して、リファイン版の新作を書いてみました。


『 娘に『パパうざい!』と追放された父親ですが、辺境でも全力で親ばかをします!』

https://ncode.syosetu.com/n3620km/


こちらも読んでいただけたら嬉しいです。◆◇◆ お知らせ ◆◇◆

既存の作品を大幅に改稿して、リファイン版の新作を書いてみました。


『 娘に『パパうざい!』と追放された父親ですが、辺境でも全力で親ばかをします!』

https://ncode.syosetu.com/n3620km/


こちらも読んでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ お知らせ ◇◆◇
既存の作品を大幅にリファインして、新作を書いてみました。

娘に『パパうざい!』と追放された父親ですが、辺境でも全力で親ばかをします!

こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ