表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

256/287

255話 女は強し

「えっと……」


 シロ王女の反応が思っていたものと違う。

 ついつい呆気に取られてしまう。


 シロ王女は不敵に笑い、言葉を紡ぐ。


「強がっている、っていうところは……うーん、ちょっとはあるよ? でもでも、ちょっとだけ。本当に、こうなるだろうな、って予想できていたの」

「そう……ですか」


 それにしては、やけに落ち着いているような?


「こうなるだろうなあ、って思っていたから、もう心の準備はできているんだ。やっぱりかー、って思っただけ」


 シロ王女の心は鋼鉄でできているのだろうか?


 少なくとも、俺は無理だ。

 ブリジット王女に告白した時、断られたとしたら、ショックで倒れてしまう自信がある。


「こうなる、って予想していたから……」


 シロ王女は取り乱すことなく。

 あくまでも冷静に……いや。


 強気に。

 そして、いつものように元気に言う。


「シロは、こう言うの……諦めてあげないよ、って」

「はい……はい?」


 今、なんて?


「シロ、お兄ちゃんに振られちゃった。うん。残念」

「も、申しわけありません……?」

「だいじょーぶ! シロ、これくらいでめげないし、諦めないから!

「えっと……それは、どういう?」

「言葉の通りだよ? シロは、これからもお兄ちゃんのことを好きでいるの」

「……」


 諦めないとは、言葉通りの意味なのか。

 俺にはない発想に、ついついぽかーんとしてしまう。


「今は振られちゃった。でも、この先もずっと同じ、っていうのは言い切れないよね?」

「それは……」


 その通りかもしれない。


 人の心は変わるもの。

 今はダメだとしても、この先は違うものに変化するかもしれない。


 シロ王女は、断れることを前提に告白をして……

 しかし、諦めないという。

 それはつまり……


「今回の告白は、シロなりの決意というか、気持ちを知ってほしかったというか……うん。せんせんふこく、なの!」

「……」


 恋の宣戦布告。

 シロ王女は、えっへん、と胸を張り言う。


 まさか、こんな展開になるなんて……

 誰が想像できるだろうか?


 王女とはいえ、シロ王女はまだ幼い。

 それなのに、ここまでのことを考えて、本当に実行してしまうなんて……


「……はは」


 ついつい笑みがこぼれてしまう。


 敵わない。

 完敗だ。


 シロ王女は強い。

 いや。

 女性が強いのだろうな。

 男では、なかなかこういう発想を抱くことはできない。

 プライドが邪魔をして、振られた相手に何度も繰り返しアプローチする、なんていうのは難しい。


 もちろん、それを可能とする人もいるが……

 たぶん、少数だろう。

 少なくとも俺は無理だ。

 事実、ブリジット王女に告白した時は、失敗したら執事を辞める覚悟さえしていた。


「今はダメだとしても、この先、ぜーーーったいシロを好きになってもらうんだからね♪ 勝負だよ、お兄ちゃん」

「……かしこまりました。その勝負、お受けします」


 全てシロ王女の思惑通りに進んでいた。


 勝負を受けることになったけれど……

 これは、勝てないかもしれないな。


 もはや苦笑するしかないのだった。

◆◇◆ お知らせ ◆◇◆

新連載です。

『悪魔と花嫁に祝福を~初心者狩りに遭った冒険者だけど、悪魔に一目惚れされて溺愛されることになりました~』


https://ncode.syosetu.com/n8526kd/


こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
漫画版のシロちゃん可愛過ぎます!! これは狙われてもおかしくないなって思いました
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ