表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

251/287

250話 完全の本気

 お兄ちゃんは、とても優しい人。

 それだけじゃなくて、すごい人。


 執事だけど、でも、執事じゃないみたいで……

 とんでもない能力を持つ人だ。


 お姉様の専属になったことで知り合い、その仕事ぶりを間近で見てきた。

 すごい、の一言に尽きる。


 なんでもできて。

 完璧にこなすことができる。


 だからシロは、お兄ちゃんのことをもっと知りたいと思った。

 好奇心と興味は好意に変わった。


 ……と、思っていた。


 今になって考えてみると、シロのそれは、ただの憧れ。

 恋愛感情とは違う。


 シロはまだ子供だったから。

 深く考えていなかったから。

 だからそれは、『恋』ではなかったのだと思う。


「でも……」


 今は違う。


 お兄ちゃんと一緒にいると、胸がぽかぽかと温かくなる。

 名前を呼んでもらえると、にへら、という笑顔になってしまう。

 自然とお兄ちゃんのことを目で追いかけて、その隣にいたいと思う。


「うん」


 今なら、ハッキリと言うことができる。

 迷うことはない。

 考えることもない。


「シロは……お兄ちゃんが好き」


 シロは王女で、普通の人と同じような恋は難しくて。

 そもそも、お兄ちゃんはすでにお姉様と付き合っていて。


 報われない恋になるかもしれないけど、でも、この気持ちを止めることはできない。

 隠すこともごまかすこともできない。


「だってだって、仕方ないよね?」


 好きなんだもん。

 どうしようもない。


 真面目にならないと、とか。

 悪いことをしたらいけない、とか。


 そういうところは、ある程度、コントロールできる。

 自分の意思でなんとかなるところだ。


 でも、恋は無理。

 一度落ちてしまったら、もうどうしようもない。


 好きで、好きで、好きで……

 その人のことしか考えられなくて。


 忘れようとしても。

 ストップしようとしても、でも、気がついたら自然と頭に思い浮かべている。


 なんて厄介。


 でも……

 嬉しいところもあって。

 ニヤニヤしちゃうところもあって。


「えへへ。シロ、お兄ちゃんが初恋の人でよかった♪」


 初恋は叶わない、なんて言われることが多い。


 事実、お兄ちゃんはすでにお姉様とお付き合いしている。

 シロが入り込む余地はないのかもしれない。

 そもそも、シロはたぶん、妹のようにしか見られていないはず。


「でも!」


 諦めたくない。

 がんばる!


 いつかの時と同じ。

 どうしようもないと諦めていたら、なにも変わらない。

 前に進むだけ。

 ぐんぐん、ずんずん進んでいくだけ。


「よーし、がんばるぞー!」


 えいえいおー! と、私は拳を突き上げるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
ロリコン養成ギブスを開発するぞ・・・
ほん(/・ω・)/にゃら〜!……本気のシロちゃんほん(/・ω・)/にゃら〜!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ