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240話 ほへぇ

「ほへぇ」


 シロ王女も会議に参加して。

 一通りの事情を説明すると、そんな間の抜けた声が。


 いまいちピンと来ていないみたいだ。


 それも仕方ない。

 シロ王女は、エルトシャン王子のことをほとんど知らない。

 というか、まったく認知していない。


 そんな相手から求婚されたと言われても、他人事のように感じてしまうだろう。


「……シロちゃんは、どうしたい? どんな風に感じている?」

「どう、って言われても……シロ、そんな人と結婚しないよ」


 シロ王女は、なぜか俺に抱きついてきた。


「シロは、お兄ちゃんと結婚するの!」

「……」

「お姉様、怖い顔……」

「え? えっと、そ、それは……」

「だいじょーぶ! シロ、妾でいいよ?」

「待ちたまえ、シロ。王女が妾というのは、さすがに外聞が悪い。第三婦人にした方がいいだろうな」

「なるほど。あれ? 第二夫人は?」

「ボクかな」

「一緒にがんばろうね!」

「あ、あの……もしも可能ならボクも入れてほしいっす」

「うんうん、ヒカリちゃんも一緒にがんばろう。おー!」

「……話がズレているから」


 ブリジット王女は、とても複雑そうな顔をして、そうツッコミを入れた。


「今回の話、シロちゃんは受ける気がないんだよね?」

「うん」

「それは、シロちゃん個人の意見? 王族という立場を考えている?」


 使者が口にしていたように、今回の件をきっかけに、フライハイム王国とヘイムダル法国の関係が良好なものになるかもしれない。


 なればこそ、シロ王女は、王族として結婚しなければいけない。


 望んでいなくても。

 願わないものだとしても。


 国のためにその身を捧げる。

 時に、そうする必要もあるだろう。


 ブリジット王女は、そんな覚悟を問いかけている。


 シロ王女は少しの沈黙。

 考えをまとめているのだろう。


 ややあって、まっすぐにブリジット王女を見つつ、口を開いた。


「やっぱり、シロはいや!」

「それは、どうして?」

「えっと、細かく説明するとすごく長くなっちゃうから、まとめるけど……」


 シロ王女曰く。


 ここ最近、なにかおかしなことが続いていることは気づいていた。

 なので、独自に調査を進めていた。

 結果、ヘイムダル法国とエルトシャン王子が関わっていることを突き止めた。


 法廷で出せるような、確たる証拠はない。

 しかし、状況証拠を並べていくと、ここ最近に起きた誘拐未遂事件の犯人は、ヘイムダル法国の関係者。

 一番、疑惑が高いのはエルトシャン王子。


 そのような疑惑を持つ相手に嫁ぐわけにはいかない。

 それこそ王族の名折れ。


「シロちゃん、気づいていたの……?」

「最初はよくわからなかったけど、何度も起きたから」

「うぅ……申しわけないっす。ボクがもっと、きちんと処理できていたら」

「いや、ヒカリのせいじゃない」


 シロ王女がすごすぎるだけだ。

 普通、ちょっとした違和感を覚えただけで、ここまで調べようとはしない。


 さすがというか、なんというか。

 知識という面においては、シロ王女は国で一番かもしれないな。


「人をさらうような悪い人は、悪いことを考えていると思うな。どれだけ大きなメリットがあったとしても、そんな人と協力するわけにはいかないもん。シロは、フライハイム王国、第三王女。悪人と手を繋ぐことはしません!」


 ビシッと言い放つ。


 さすがだ。

 幼いけれど、シロ王女は立派に王族としての務めを果たして……

 そして、王族としてどうあるべきか、すでに理解している様子だった。


「お姉様は、どう考えているの?」

「うん。私もシロちゃんと同じ。なにかしら『裏』があると思う。だから、今回の話を受けるべきじゃないと思うよ」

「ボクも同じく」

「そういうことなら、ボクもっす!」


 みんなの意見が一致する。


 いや。

 ゴルドフィア王は気絶したままではあるが……

 まあ、起きていたら、そのまま賛同してくれただろう。


「そうと決まれば、使者を追い返してこようか。ふっふっふ。こんなこともあろうかと、ちょうどいい魔物を飼育していたんだ。あの子を使えば……」

「はいはい、そういう物騒な方法は使わないように」

「えー」

「えー、じゃないの。断るにしても、使者を強引に追い払うなんてダメ。国と国のやり取りなんだから、こちらも、正式な手続きをしないと」

「面倒だなあ」

「面倒っすね」

「あなた達ね……」


 ブリジット王女は、とても疲れた様子でため息をこぼす。

 おつかれさまです。


「その辺りの手続きは俺が進めておきましょう。同時に、ヘイムダル法国とエルトシャン王子についての調査も」

「うん。アルム君、お願い」


 ブリジット王女は険しい表情で言う。


「断れば終わり、って考えられればいいんだけど……今回の件、どうにもこうにも根が深そうなんだよね。簡単に解決しない気がする」


 その予感は正しく……

 後日、シロ王女が消えてしまうのだった。

通常更新まで、もう少しお待ちください><

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― 新着の感想 ―
シロちゃんが消えた!? アルムやヒカリがある中どうやって突破したんだ!? どっちにしろシロちゃんに手を出したから八つ裂き確定だな
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