表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

230/286

229話 ヘイムダルの闇

「ふむ」


 夜。

 俺は自室で、一人考えていた。


 昼間に起きた、二度目の襲撃事件。

 敵は大したことはなくて、簡単に無力化することができた。


 なぜか知らないが、敵はやたら驚いて、怯えていた。

 なので、わりと簡単に情報を引き出すことができた。


 彼らの目的は、シロ王女の誘拐。

 これで二度目だ。


 依頼主は不明。

 ……と言うものの、心当たりはあるらしく、それを聞いた。


 ヘイムダル法国の関係者の可能性が高い、とのこと。


「やはり、というべきなのか」


 まだ可能性の段階だ。

 しかし、ここまで証拠が揃っていると、疑いは自然と増してしまう。


 とはいえ、謎は残る。


 なぜ、ヘイムダル法国がシロ王女を狙うのか?

 国交はないものの、積極的に敵対しているわけでもない。


 ただ、王女を狙ったとなれば、開戦はまったなしだ。

 ゴルドフィア王が娘を溺愛していることは関係なくて……

 王族に手を出されて黙っているようでは、そんなものは国として成り立たない。


 ヘイムダル法国の関係者ではあるものの、ごろつきの類なのか?

 それとも、国に深く関わるものの犯行なのか?


 前者と後者で、今後の展開が大きく変わるのだけど……


「できれば前者であってほしいが……」


 普通に考えて、ごろつきが王族に手を出すわけがない。

 そんなことをすれば、極刑は間違いなし。

 地の果てまで追いかけられて、安住の地は永劫に得られないだろう。


 そこまでのリスクを犯せるわけがない。

 ごろつきだからこそ、危険に対する探知能力は高く、無茶はしないはずだ。


 そうなると……


「やはり、国が関係しているのか?」


 なにかしらの目的でシロ王女を狙う。

 開戦に発展しそうな愚かな事件ではあるが、そんなリスクを抱えてでも成し遂げたい目的がある。

 リスクよりも大きなリターンがある。


 そう考えるべきなのだけど……

 いったい、どのようなリターンがあれば開戦覚悟でシロ王女を狙うというのだろう?


 開戦そのものが目的か?

 フラウハイム王国に勝利して、併合する。

 そうして国力を増して……


「いや、ありえないな」


 自分で自分の考えをすぐに否定した。


 今の流れを成し遂げたとすれば、確かに、ヘイムダル法国の国力は増す。


 フラウハイム王国は、国土はそこまで広くない。

 ただ、国力はわりと高い方だ。

 豊かな土壌に、色々な名産品もある。


 それらを手に入れることができたのなら、ヘイムダル法国は強くなるだろうが……


 力で強引に奪い取るような真似をすれば、他国が黙っていない。


 横暴を許したら、さらに無茶をするのではないか?

 次は我が国に侵略してくるのではないか?

 そんな考えの元、各国から制裁を受けるのは間違いないだろう。


 かつての帝国と同じだ。


「まあ、帝国は強大すぎたため、なかなか制裁の効果は現れなかったが……」


 あれこれと考えて……

 ややあって、吐息をこぼす。


「これ以上は、さらなる情報が必要だな」


 また刺客が送られてくるのを待つか?

 それとも……


「もう少し考えるか」


 夜が更ける中、俺は対策を考えて……


 後日。

 「徹夜しすぎ!」と、シロ王女に怒られてしまうのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
夜は更けるものです。
朴念仁の執事にはロリコン変質者のサイコアナリシスは荷が重かった様で・・・。 そう言えば、ナンパ師の色男は・・・この世界線には見当たらないような。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ