表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

228/287

227話 教育してやろう

「ねえねえ、お兄ちゃん。シロ、遊びに行きたいなー」

「今日の分の勉強を終わらせれば、いくらでも」

「うぅ、お兄ちゃんの意地悪!」


 ひーん、という悲鳴をあげつつ、シロ王女は勉強を再開した。


 その姿を見ていると、山のような執務に囲まれて泣き言を漏らすブリジット王女を連想させられる。

 姉妹だな、と感じさせる光景だ。

 微笑ましい、と思うのは、ブリジット王女と似ているからだろうか?


 ……この光景に微笑ましさを覚えていたらダメだな。


 ブリジット王女もシロ王女も、きちんと自分のやるべきことをこなしてほしい。

 その後でなら、いくらでも遊んでもらって構わないのだけど……

 二人は、それよりも先に遊ぼうとするからな。


 ……まあ、パルフェ王女も似たようなものか。


 そうなると、フラウハイム王国の三姉妹王女は、わりと問題児なのか?


 むぅ……

 執事として、主を正すことは義務だ。

 少し燃えてきたな。


 とはいえ……

 シロ王女の矯正は、また今度になりそうだ。


「来たか」


 とある気配を感じて、俺はぴくりと眉を動かした。


 今考えていること。

 思っていること。

 それらは、絶対にシロ王女に悟られてはいけない。

 表情を変えることなく、気配も変えない。


 その上で口を開く。


「ヒカリ」

「はいっす」

「うわ!? ヒカリちゃん、どこにいたの!?」


 突然、ヒカリが現れてシロ王女が驚いていた。

 驚かせたことは申しわけないと思うのだけど、緊急時なので許してほしい。


「シロ王女。俺は少し用事ができたため、一時、席を外します」

「え? そうなの? じゃあ、勉強も……」

「がんばってくださいね」

「ひーん」


 にっこりと言うと、シロ王女はげんなりした。

 それでも、ペンを動かす手を止めないのはさすがだ。


「ヒカリは、このままシロ王女を頼む」

「自分が行かなくていいっすか?」

「今度は、俺が対処する。この目で直に確認したい、というのもあるからな」

「了解っす」

「???」


 俺達の会話の意味がわからず、シロ王女は不思議そうにしていた。

 でも、わからないままでいい。




――――――――――




 城を守るように、四隅に立つ監視塔へ向かう。


 天を目指すかのように高く。

 そして、魔法の直撃を受けてもびくともしないほど頑丈な場所だ。


 ここで常に城内、城下の警戒が行われている。

 全ての機能が集中しているわけではないが、守りの要の一つといっても問題はない。


「……」


 兵士達が倒れていた。

 代わりに、黒装束の男が三人。


 先日、ヒカリが捕まえた者の仲間だろう。


「フラウハイム王国へようこそ。入国の目的は? 手形はお持ちで?」

「「「……」」」

「もしかして、無許可の入国ですか? それは困りましたね」


 軽口を叩いてみるものの、乗ってくる様子はない。

 男達は、音もなく武器を構えた。


 問答無用……か。


 まあいい。

 元々、話し合いで済むなんて思っていない。

 力には力をぶつけるまでだ。


 それに、兵士達のことも気になる。

 兵士達は気絶させられているだけ。

 とはいえ、軽傷というわけではなさそうだから、早く手当をしないといけない。


「来い」


 こちらも構えた。


「フラウハイム王国に槍を向けたこと。そして、シロ王女に手を出そうとしたこと……その愚かさを、その身をもって教育してやろう」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ