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20話 二人の夜

 予想外のトラブルに巻き込まれたものの、盗賊達を騎士団に引き渡した後、俺達は視察予定の村に移動した。


 山の斜面に沿うようにしてぶどうが栽培されている。

 村の中央にワインを加工する工場があって、小さいながらも活気にあふれた場所だ。


 村のワインは王国の特産品として数えられるほど。

 故に、ブリジット王女が定期的に視察を行っているらしい。


「うん、問題なしだね!」


 夜。

 宿の一室で書類をまとめ終えたブリジット王女は、にっこり笑顔に。


 盗賊に襲われるというトラブルに遭遇したから、もしかしたら村も……なんて恐れがあったのだけど、それは杞憂だった。

 村になにも問題はない。

 ワインの生産量も上々だ。


「そんなわけで……はぁあああああ、疲れたぁあああああ……」


 ばたん、とブリジット王女はベッドに寝た。


「大丈夫ですか?」

「あんまり大丈夫じゃない……スケジュールが押した分、一気に視察を進めたから、めっちゃ疲れたよぉ」


 ごろごろと転がる。


「あの……ブリジット王女? そんな風に動かない方がいいかと」

「んー……ふふーん? なになに、ドキドキしちゃう? 王女のパンツが見えちゃいそう、ってドキドキしてる? 私、罪な女」

「というか、すでに見えています」

「ぎゃあああ!?」


 乙女にあるまじき悲鳴をあげて、ブリジット王女は慌てて起き上がる。


「うぅ……アルム君のえっち」

「いえ、その……申しわけありません。お詫びというわけではありませんが……」


 ルビーのように輝くワインを差し出す。

 村の特産のワインだ。

 ぜひブリジット王女に、と村人達からもらったものだ。


「飲みますか?」

「いいの!?」

「今日はすごくがんばっていたので」

「ひゅー、アルム君わかるぅ♪ じゃあ、一緒に飲もう」

「え? いえ、俺は……」

「一人で飲んでもつまらないよー。ぶーぶー。王女命令です、私の晩酌に付き合うこと!」

「……わかりました」


 苦笑しつつ頷いて、ブリジット王女と一緒に酒を飲むことになった。




――――――――――




 ブリジット王女は酔うと、どうなるのか?

 絡み酒? それとも泣き上戸?


 正解は……


「アルム君はここ。はーい、一名様ごあんなーい」


 いつかの再現のように、強制的に膝枕をされてしまう。

 そのまま、よしよしと頭を撫でられる。


「んー、アルム君、いい子いい子。いつも私やみんなのためにがんばってくれて、偉いなー。よしよし♪」


 ブリジット王女は酔うと、とことん甘やかすようになるみたいだった。


「えっと……ブリジット王女。俺は執事で、あなたは王女。こういうことは……」

「だーめ」

「え?」

「今は、ブリジット、って呼んでちょうだい♪」

「いえ、それは……」

「名前で呼んでほしいなー」

「そ……」

「名前で呼んでほしいなー」

「し……」

「名前で呼んでほしいなー」


 ダメだ。

 こちらがなにか言おうとする度に言葉を被せられてしまう。


「……ブリジット」

「うん♪」


 ものすごく嬉しそうな顔をされてしまう。

 そのまま、俺の頬に手を添える。


「ずっとこうしていたいね」

「そうですね……」

「あ、やっぱり今のなし。これだけじゃ足りないかな」

「え?」

「はむ」

「ひぁ!?」


 突然、耳をぱくりと咥えられてしまう。


「あはは、ひぁ、だって。かわいいなー、もう♪」

「ちょ、王女、それはさすがに……」

「名前で呼んでくれないとダメー」

「うぐっ」


 そのまま甘咬みされて、舐められてしまう。


「な!? なにを……」

「ふふ、慌てちゃって可愛いなあ、もう。でも、まだまだ。こんなものは序の口だよ?」

「え」

「今日はいっぱいいーーーっぱい、甘やかしてちゃうんだから♪」

「う、うあああああぁ!?」




――――――――――




 その後……

 なにが起きたのか、それは秘密にしておく。


 ただ、


「あああああぁあああああぁぁぁ……私のばか、ばかばかばか、ばかぁあああああっ!!!」


 しばらくの後、我に返ったブリジット王女は顔を真っ赤にして悶絶することになった。


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― 新着の感想 ―
この王女、何だかカナデを彷彿とさせるというか・・ まさか、最強種・・それも甘えさせることに特化した最強種・・?いやいやまさかね・・?
[一言] 昨夜はお楽しみでしたね!www
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