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194話 非日常は続く

「小僧。今日は、軍の視察を行うぞ」

「はい」


 今日もゴルドフィア王に捕まっていた。


 これで3日連続だ。

 こんなこと、今までにない。

 いったい、なにが起きているのだろう……?


 もしかして……

 ブリジット王女とのことがバレた?

 だから、俺とブリジット王女を引き離そうとしている?


 ……いや、違うか。


 ゴルドフィア王の性格を考えると、バレたらもっと、とんでもないことになると思う。

 真正面から思い切り凄まれて。

 敵意たっぷりに怒鳴られて。

 最後は本気で真剣を向けてくるだろう。


 ……一国の王がすることじゃないな、これ。


 とはいえ、ゴルドフィア王は、それくらいブリジット王女を溺愛しているはずだ。


 しかし、今のところなにもない。

 こうして仕事に同行しているものの、それだけ。

 なにもされていない。


 それに、俺が仕事に同行することは、ブリジット王女も許可しているという。

 後々で確認してみたら、そういう話になっていた。

 無理矢理ではない。


 きちんとした手続きをとっているとのこと。


(……ダメだ、ますます意味がわからない)


 考えれば考えるほど、ゴルドフィア王の真意がわからなくなっていく。

 いったい、なにがしたいのだろう?


「さて、小僧よ」

「はい」

「この訓練を見て、どう思う?」


 到着したのは、フラウハイム王国騎士団の訓練場だ。

 いざという時に備えて、騎士達が訓練に励んでいる。


 とても練度が高い。

 連携もバッチリだ。

 戦いの場では、大きな活躍ができるだろう。


 しかし……


「なにか言いたそうな顔だな?」

「それは……」

「構わん。儂が、小僧の意見を聞きたいのだ。なんでも言うといい」

「……戦闘訓練だけではなくて、別の訓練はしないのでしょうか?」

「それは、サバイバル訓練のことか? もちろん、しているぞ。今日は、たまたま戦闘訓練だった、というだけだ」

「では、救助訓練は?」

「救助?」


 それはしていないらしく、ゴルドフィア王は不思議そうな顔をした。


 なぜ、そんなことを考えた?

 そう問いかけるようにこちらを見てくる。


「なにかしら大規模な事故が起きた時に備えて、民を救助するための訓練を行ってもいいのではないか、と。例えば、崩壊した民家に閉じ込められた人を救助する訓練とか、川に流された人を救助する訓練とか」

「ふむ」


 俺の案は一蹴されることはなかった。

 ゴルドフィア王は、わりと真面目な顔をして考えている。


「確かに、そういう訓練はしていないな……戦うのではなくて、救うための力か」

「はい。戦時であれば、戦闘力を第一に考えるべきですが……今は、情勢は落ち着いています。そういう訓練をしてもいいのではないか、と思った次第です」

「なるほど」


 ゴルドフィア王は顎髭を触り、考える仕草を取る。


 そのまま1分ほど。

 よし、と頷いた。


「いいだろう。小僧の案を採用しよう」

「え?」

「宰相に話を通しておこう。話を聞いておくといい。良い話、情報が得られるだろう」

「えっと……」

「草案を作成しておけ。あとで儂がチェックしておく」

「……どうして?」

「む? 今は忙しいか? ならば、いつなら可能だ」

「あ、いえ……作業的には問題ないのですが、どうして、俺の意見を求めていただけるのかな、と」

「……ただの気まぐれだ」


 少し。

 ほんの少しだけ、ゴルドフィア王は苦い顔をした。


 この状況は、ゴルドフィア王が望んだことではない?

 誰かが裏で手を回した?


 しかし……なぜ?


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 黒幕(?)は誰なのか?バレてるのかまだ疑惑なのか…。お義父さんと呼ばせてくれるのかw孫にはデレデレタイプなのかw結婚式はちゃんとあげられるのかw気になりますねw
[一言] 王になるための試練……だったりして
[一言] なんか試されている?
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