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189話 これからを考えよう

 ブリジット王女の見合いは成立することなく……

 かといって、ジーク王子の機嫌を損ねることはなく……


 大きな問題が発生することはない。

 そのまま、俺達は王国への帰路についた。


 行きと同じように、帰りも馬車に揺られるのだけど……


「……」

「……」


 馬車の中は沈黙に包まれていた。


 ただ、気まずい沈黙ではない。

 照れくさいような、こそばゆいような……

 そんな沈黙。


 ちらりと、ブリジット王女がこちらを見た。

 でも、俺と目が合うと、すぐに頬を染めて視線を逸らしてしまう。


 今度は、俺から視線をやる。

 ブリジット王女はこちらを見て……


 ダメだ。

 我慢できず、今度は俺が目を逸らしてしまう。


 言葉を交わさない交流。

 触れ合い。

 でも、それは悪くないもので、これはこれで……


「うだぁーーーーー!!!」


 耐えかねたという感じで、ヒカリが突然、爆発した。


「さっきからなんなんすか、二人共!?」

「ど、どうしたの、ヒカリちゃん?」

「落ち着け、敵か?」

「イチャイチャイチャイチャして、なんなんすか!? 自分への当てつけっすか!?」


 ブリジット王女と顔を見合わせる。

 ほぼ同時に首を傾げる。


「イチャイチャなんて……」

「していないよ?」

「その息がぴたりと合った返事がすでにアウトなんすよ! 自然体でイチャイチャしてるっすよ!」


 そう指摘されて、思わず愕然としてしまう。


 俺は、知らず知らずのうちに、ブリジット王女とイチャイチャしていたのか……?


「……それ、なにか問題あるのだろうか?」

「ないよね?」

「ですよね?」

「だあああああっ!!! 二人は鬼っすか!? 自分のことも気にかけてくださいよ!?」


 ヒカリは血の涙を流しそうな勢いで叫ぶ。


 いや、すまない。

 ちょっとした冗談のつもりだったが……


 むう。

 どうやら、俺は冗談のセンスがないようだ。


「すまない、ヒカリを傷つけるつもりはなかったんだが……」

「……いいっすよ。アニキは、ブリジット王女が初めての恋人なんでしょう? なら、浮かれるのも仕方ないっす」

「私が初めて……えへへ」

「……いや、やっぱり辛いかもっす。この空間にいるの、けっこうな拷問っすよ」


 そこまで言うか。


 ……いや、それも当たり前か。

 ヒカリは俺に好意を寄せてくれていて、しかし、俺はブリジット王女を選んで。

 拷問という言葉は、ある意味で適当なのかもしれない。


「……ねえ、ヒカリちゃん」

「はいっす」

「ヒカリちゃんは、アルム君のことが好きなんだよね?

「へっ? いや、まあ、その……はいっす」


 突然の質問に動揺しつつ、ヒカリは頷いてみせた。


 ブリジット王女は、なにを考えているのだろう?

 不思議だけど……

 彼女なら、悪い方向にはしないだろうと、ひとまず成り行きを見守る。


「なら、良い話があるんだけど」


 そう言うブリジット王女は、子供が悪巧みをしているような顔をするのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] みんなで幸せになぁ〜れ。
[気になる点] 一夫多妻のハーレム?
[一言] いい話……第四か第五夫人……いや、第三か第四側室かな?正妻と第一、第二側室は王族の三人になるだろうし
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