表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

189/286

188話 結ばれる二人

「あなたのことが好きです」

「……ふぇ?」


 想いを告げると、ブリジット王女は、ぽかーんと目を丸くした。

 なにを言われたかわからない、というような反応だ。


 聞こえなかった、ということはないだろうが……

 もう一度、告げた方がいいだろうか?


「俺は、ブリジット王女のことを、異性として慕っています」

「……」

「ブリジット王女?」


 なぜか反応がない。

 ぽかーんとしたまま、固まってしまっている。


「はっ!?」


 ややあって再起動した。


「ふぅ……最近、疲れているのかな? なんか、白昼夢を見ちゃったよ」

「どんな夢ですか?」

「私が勢いでアルム君に告白をして、アルム君も私に告白してくれる、そんな幸せな夢」

「えっと……それは夢ではないのですが」

「……」


 再び硬直。


「えぇ!?」

「いえ、そこで驚かれても……」


 これは、もしかして……

 ブリジット王女は、俺以上に、こういう事態に疎く、弱いのだろうか?


 あたふたとして。

 頬を染めて。

 あちらこちらに視線を飛ばして。


 ……なんて可愛いんだ、この人は。


 抱きしめたい。

 キスしたい。

 そんな欲望が湧き上がってくるものの、さすがに、まだ暴走するわけにはいかない。


「俺は、ブリジット王女のことが好きです」

「あ……ぅ……」

「本気です。この想いに嘘偽りはありません」

「ひゃ……」

「ブリジット王女も同じ気持ちなら、どうか、応えていただけないでしょうか?」

「それは……」


 迷いの表情。

 影が見えた。


「そう、したいけど……でも、そうなると、お見合いは……そうなったら、もしかしたら、両国の関係が……」

「それでも、です」


 王国に属する者として、俺は失格なのだろう。

 こんなこと考えるべきではないのだろう。


 それでも。


 俺は、ブリジット王女のことが好きだ。

 誰にも渡したくない。

 俺だけを見てほしい。


 自分の気持ちに気づいて、素直になるべきと知って……

 今更、止まることはできない。


「どうか、俺の手を取っていただけませんか?」

「……アルム君……」


 ブリジット王女は、俺の顔と手を交互に見た。


 そっと手を伸ばして……

 でも、途中で引き返して……

 その繰り返しだ。

 迷いが、覚悟が決められない様子。


 だけど。


「……んっ!」


 ブリジット王女は覚悟を決めた様子で、そっと……俺の手を取る。


「私も……アルム君が好き」

「……ブリジット王女……」

「だから、その……私の隣にいてくれるかな?」

「もちろん。俺は、キミの隣にずっといるよ」


 今だけは主従関係を忘れて……

 一人の男として、彼女に応えるのだった。


 ブリジット王女の腰に手を回して、そっと抱き寄せて……


「……ん……」


 二人の距離がゼロになる。

◆◇◆ お知らせ ◆◇◆

さらに新連載です。

『おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~』


https://ncode.syosetu.com/n8636jb/


こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
[一言] おめでとうございます!後はお父様の説得だけど、 アルム強いからそこは何とかなりそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ