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173話 VSリシテア・その5

 剣や槍が矢のように飛んできた。

 また、魔法が雨のように降り注ぐ。


「うっ、ぐぅ……!? これ、くらいでぇ……あぁ!?」


 絶え間のない攻撃に晒されて、リシテアは苦悶の表情で悲鳴を上げた。

 慌てて逃げようとするが、俺がそれを許さない。


 魔法を常時発動させて、拘束。

 さらに彼女の足を掴み、その場に押し留めた。


「離し、なさいよぉっ!!!」

「悪いが、一緒に付き合ってもらうぞ!」


 これが、俺の考えた策だ。


 ……まあ、策とも言えないくらいずさんなものではあるが。


 俺が囮となり、リシテアを誘い出す。

 そして拘束。

 残った皆が一斉に攻撃を叩き込む。


 俺も巻き込まれてしまうのだけど……

 こうして、リシテアが俺を足蹴にすることは、今までの行動から大体予想できていた。

 被弾面積は立っている彼女の方が大きい。


 それに、俺は攻撃が来るということを知っていた。

 あらかじめ防御魔法をかけておいた。

 それに、覚悟もしておいたから、多少なら耐えることができる。


 あとは……


「我慢比べだ!」

「このっ……アルムぅっ!!!」


 半狂乱になったリシテアは、何度も何度も俺を踏みつけてきた。

 しかし、俺は彼女を離さない。

 絶対に逃してやらない。


「あっ、ぐぅ……!? うあっ……!?」


 リシテアを刃が切り裂く。

 魔法が弾けて肉を削る。


 何度も何度も。

 攻撃が繰り返されていく。


「こんな、ことでぇ……あたしが……あたしがっ!!!」


 リシテアの動きがだんだん鈍くなってきた。

 ダメージは着実に蓄積されている。


 なら、この辺りでトドメといこう。


「セラフィー!」

「おう!」


 合図はそれだけで十分。


「な、なによ、今更……ぐっ!?」


 リシテアが望んでいたように、蹴り飛ばして、自由を与えてやる。


 ただ……

 その先にはセラフィーが待ち構えていた。


 騎士達から身体能力を強化する魔法を受けて。

 さらに、武器の威力を向上させて魔法も受けていて。


 準備万端。

 ここぞとばかりに、セラフィーがありったけの一撃をぶちかます。


「死ね……やぁあああああっ!!!」

「ぐっ、うあああああっ!!!?」


 ゴガァッ! という轟音と共に、強烈な一撃が炸裂した。

 衝撃波を周囲に撒き散らして、土煙が舞い上がる。


 リシテアはどうなった?

 セラフィーは?


 痛みを無視して、なんとか起き上がる。

 それから、土煙を風属性の魔法で散らす。


「……へへ、どうだ」


 まず最初に確認できたのは、セラフィーだ。

 身体能力を強化する魔法を受けていたが、複数人から受けるという無茶をしたため、かなり辛そうだ。

 限界を越えたせいで、無茶苦茶な状況になっているだろう。


 そして……


「あたし、はぁ……こんな、ところで……!!!」


 驚くべきことに、まだリシテアは生きていた。

 息も絶え絶えといった様子だけど、両足を地につけて、体をしっかりと支えている。


 ただ……


 もう終わりだ。

 リシテアから圧を感じない。

 防御に全ての力を使い切ったらしく、ギリギリ、存在を許されているような状況だ。


 俺は拳を握り締めて、リシテアのところへ向かう。


「……リシテア……」

「……アルム……」


 互いに睨み合う。


 どうして……

 どうして、こんなことになってしまったんだろうな?


 昔は、一緒に遊んだこともある幼馴染で。

 恋をした相手で。


 でも今は、殺し合っている。

 そんな現実が寂しくて切なくて……

 どうしようもなく悔しい。


 だからもう。


「……終わりにしよう」

「うるさい、うるさい、うるさい! あたしは、こんなところで……あたしはぁっ!!!」


 満身創痍の様子ではあるが、リシテアが殴りかかってきた。


 その拳を受けて……

 でも、俺は倒れない。


「さようなら」


 逆にリシテアを殴り返した。

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― 新着の感想 ―
思えば、リシテアも親が正しく教育していれば・・
[一言] 愚物はどこまで行っても愚物。
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