表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

156/287

156話 アカネイア同盟国

 1ヶ月後。

 帝国は完全に解体されて、歴史から消えることになった。


 代わりに、アカネイア同盟国という国が誕生する。


 元々、帝国はいくつもの国が併合されてできた国だ。

 侵略を繰り返して、国を吸収して、領土を広げてきた。


 帝国が解体されたことで、それらの国は自治権を取り戻したものの……

 すでに力を失っていて、独自に立ち上がることは難しい。


 ならば、同じ立場の者で手を取り合い、一緒に立ち上がるのはどうだろう?


 そんな発想から、帝国の元になっていた国々が協力をして、同盟を結び……

 そして、アカネイアという巨大な国ができあがる。


 以前の過ちを繰り返さないため、君主は一人ではない。

 四人の統治者がいて、それぞれが等しい権力を持つ。

 共和国制度に似ているだろうか?


 こうして、ベルグラード帝国は消えて……

 新たにアカネイア同盟国が建国されることになった。




――――――――――




「はじめまして。自分は、アカネイア同盟国、第三騎士団隊長、リセ・エンゲージと申します」


 アカネイア同盟国からやってきた使者は、ピシリと背を伸ばして敬礼をしてみせた。

 とても礼儀正しい人物のようだ。


 あれからブリジット王女はライラに連絡を取り、協力者の要請をして……

 快諾されて、彼女が派遣されてきた。


「はじめまして。フラウハイム王国、第一王女のブリジット・スタイン・フラウハイムです。こちらは、私の専属執事のアルム・アステニアです」


 ブリジット王女の執務室で顔合わせが行われた。


「よろしくお願いします、アルム殿」

「こちらこそ」


 リセと握手を交わす。

 すると、なぜか驚いた顔をされてしまう。


「どうかされましたか?」

「あ……失礼しました。とてもしっかりとした手で、とんでもなく鍛えられていることがわかったため、ついつい驚いてしまったのであります」

「え、そのようなことがわかるんですか?」

「はい。大雑把にではありますが」


 この人、思っていた以上にすごい人なのかもしれない。


 そして、ブリジット王女。

 恥ずかしいのでドヤ顔はやめてください。

 うちのアルム君はすごいんだよー、という自慢もしないでくださいね?


「求められていた資料については、すでにそちらの諜報員の方に渡してあります」


 たぶん、ヒカリのことだろう。


「ありがとうございます。後で確認してみます」

「資料に記載されていないこと。また、さらなる詳細を知りたい場合は、自分に声をかけていただければ」


 とても真面目な方だ。

 セラフィーに見習ってほしい。


「アルム君。私は、リセさんとお話をしているから、その間に資料を確認してきたら?」

「そうしますね」

「え? しかし、あの資料は、全て読むのに数日はかかる量ですが……」

「大丈夫。それくらいなら、アルム君だと30分で終わるよ」

「ははは、王女は冗談が上手なのですね」


 ……なんて笑っていたリセだけど。


 1時間後。


「……本当に、全て読んでしまわれたのですか?」


 一度、席を外して、ヒカリの元を訪ねて。

 資料に目を通して、戻り。

 その内容を口にすると、リセが唖然とした表情に。


 なにがおかしいのだろうか?

 山のような資料は、時間をかけることなく読まなければいけない。

 その後に、さらに多くの仕事が控えているからだ。


 故に、速読術を学んだ。


「速読術というレベルではない気がいたしますが……なるほど。噂に違わぬ方のようだ」

「噂?」

「ライラ様から色々と聞いていまして」


 どのような話なのか非常に気になる。

 変なことは言っていないだろうな?


「同じ人間と思えない時があるかもしれないけど、気にしないように……と」


 言われていた!


「確かにおかしいですね」

「納得しないでください……」

「あぁ!? こ、これは失礼いたしました! 自分、嘘は苦手でして」


 フォローになっていない。


 ちなみに……

 ブリジット王女は肩を震わせて笑っていた。


◆ お知らせ ◆

新連載です。

『ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?』


https://ncode.syosetu.com/n6423iq/


こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
[気になる点] アルムの信者が増えた?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ