表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

148/286

148話 緊急対策会議

「……と、いうわけで。お姉様がお兄ちゃんのこと、本気で好きになっちゃったっぽいの。いつかお兄ちゃんのお嫁さんになりたいシロとしては、これは、わりとガチで危ないと思うんだよ!」

「はぁ……」


 城にある第三王女の部屋。

 そこで、第三王女のシロは、ヒカリを相手に力説していた。


 一方のヒカリは、「なんで自分がここに……?」と、若干、呆れ顔だ。


「聞いてる、ヒカリちゃん?」

「聞いているっすけど……自分、ここにいる意味、あるっすか?」

「もちろんだよ!」


 シロは胸を張って言う。


「だって、今は、同じ仲間だからね」

「仲間?」

「お兄ちゃんを取られない同盟の仲間」

「妙な同盟にいつの間にか入れられていたっす……」

「だってだって、ヒカリちゃんも嫌だよね? お兄ちゃん、取られたくないよね? 好きだよね?」

「へぁ!?」


 ぼんっ、とヒカリが耳まで真っ赤になる。


「い、いやいやいや!? 自分は、その、アニキを取られたくないとか好きとか、そんなだいそれたことはまったく考えていないというか……」

「嘘」


 あたふたと言い訳するヒカリではあるが、シロに一刀両断されてしまう。


「ヒカリちゃんはお兄ちゃんが好き。この名探偵王女シロちゃんの目はごまかせないよ!」

「うぅ……」

「さあ、認めて。そうすれば楽になるよ」


 騎士団の尋問を真似するシロ。

 この前、偶然、犯罪者を問い詰めているところを見たのだ。


 教育に悪いと、その場は追い出されたものの……

 しっかりと影響を受けていた。


「……み、認めるっす。自分は……アニキが好きっす」


 それは、ある意味で当然の流れだ。


 ヒカリを暗い世界から引き上げてくれて。

 正しく生きる道を示してくれて。

 新しい名前をくれた。


 ここまでされて好きにならないわけがない。

 アルムのために働いているのは恩返しの意味もあるが、もっと単純に、好きな人の力になりたいという想いがある。


「そんなヒカリちゃんに、悲報だよ」

「ふぇ?」

「……お姉様が、お兄ちゃんを好き、って自覚したの」

「!?」


 マジで!? と、ヒカリはショックを受けた。


 元暗殺者ではあるが、一応、ヒカリは女の子だ。

 色恋について理解しているところはある。


 そんなヒカリから見て、ブリジットがアルムに惹かれているのは一目瞭然だった。


 とはいえ、それを口にしたことはない。

 万が一、「じゃあアルム君に告白する!」なんて展開になったら困るからだ。


 しかし今、ブリジットはアルムに対する好意を自覚したという。


 アルムはよくわからないが……

 少なくとも、ブリジットのことを嫌ってはいないだろう。

 異性としてある程度は意識しているような気もする。


 このままだと、二人が付き合うのは時間の問題。


「事の深刻さを理解したみたいだね」

「ど、どうすれば……?」

「お姉様には悪いけど、なんとしても告白を阻止しないといけないの! シロ達の恋を叶えるために!」

「で、でも、阻止したとしても、自分達は……」

「うん、ライバルだね。でも、シロはお兄ちゃんを独り占めするつもりはないよ」

「え?」

「シロは王女だから、たくさんの人と結婚できるんだよ」


 王家の血を残すために、王女であるシロは子供を産むことが望まれている。

 もちろん、それはもっと先の未来ではあるが……


 そして、たくさんの血を残すために、一人に限らず、たくさんの相手を求める。

 それは貴族社会においてはよくあることだ。

 王家も同じ考えを持つ者がいる。


 現王、ゴルドフィアがそれを望んでいないため、娘達の自主性に任せているが……

 その気になれば重婚が可能なのだ。


「つ、つまり……?」

「シロの味方になってくれれば、ヒカリちゃんもお兄ちゃんと結婚できるよ!」

「乗ったぁ!!!」


 今日一番、大きな声が出るヒカリだった。


 その後……

 アルムをいかにして落とすか?

 どうやってロリコンにするか?


 そんな議題が真剣に討論された。

 その結果がどうなったのか……


 それはまだ、誰も知らない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
なんか、レイン達の方でもこんな会議があったような気が・・・??
[一言] もう、みんなのアルムくんでいいじゃん!! と思ったけど、お父様が許さないような気がする。
[気になる点] >「そんなヒカリちゃんに、悲報だよ」 >「ふぇ?」 >「……お姉様が、お兄ちゃんを好き、って自覚したの」 >「!?」 >マジで!? と、ヒカリはショックを受けた。 シロは最初に全く同…
2024/02/05 17:01 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ