１４１話 ＶＳ帝国皇帝ベルンハルト
「おぉおおおおおっ！！！」
ベルンハルトが吠えて、熊のように突撃してきた。
速く、重く。
そして狙いは正確に大剣を振り下ろしてくる。
直撃したら終わりだ。
濃厚な死の気配を感じつつ、体をひねり回避。
反撃に……
「甘いっ、甘いぞぉっ！！！」
「くっ……！？」
ベルンハルトは剣を振り下ろしたばかりなのだけど、驚異的な膂力で大剣を引き上げて、今度は跳ね上げてきた。
ベルンハルトの大剣が獣に見えてきた。
主に忠実で、獲物の喉元を食いちぎる猛犬。
刃が迫り、俺は大きく後ろに跳んで回避する。
ただ、ヤツは俺の行動を読んでいた。
それを待っていたというように、絶妙なタイミングで間合いをつめて、今度は大剣を横に振る。
際どいところで回避に成功した。
暴力と速度の嵐。
そこに技術が加わり、手がつけられないほどの強さになっていた。
「さすが、というべきか」
皇帝ベルンハルト。
彼の実力は本物だ。
そして、俺は彼に劣る。
悔しいけれど、力も技術もベルンハルトより下だ。
ただ、負けるつもりはない。
戦い方はある。
それに……
「悪いが、あなたのような人間は争いを招いて、悲劇と不幸を撒き散らすだけだ。ここで討ち取らせてもらう」
リシテアのことは考えないことにした。
ベルンハルトを相手に、余計なことを考えていたら絶対に勝てない。
この戦いだけに集中しないと。
「……」
「……」
戦いを仕切り直すかのように、互いに視線を激突させた。
睨み合い。
隙を探り合い。
そして、
「「っ！！！」」
ほぼ同時に床を蹴り、前に出た。
退くなんて選択肢はない。
フェイントも必要ない。
真正面から力と力をぶつけ合う。
「ぐっ！」
「むううう……！」
セラフィーと戦った時にしたように、身体能力を完全開放。
おかげで力負けしていないのだけど……
しかし、それでも押し切ることができない。
ようやく互角といったところだ。
「化け物め……！」
「貴様が非力なだけだっ、潰れろ！」
ベルンハルトはわずかに体の重心をずらすことで、俺の攻撃を受け流した。
そして、床を踏み抜くような勢いで足をついて……
「ぬぅんっ！！！」
大剣をハンマーのように直上から叩きつけてきた。
防いで……
ダメだ。
そのまま潰されてしまう。
後のことは考えず、避けることだけに集中した。
ギリギリまでハンマーの軌道を見極めて、その射程外に体を逃がす。
そして、当然のように発生する追撃も避けた。
ただ、かなり無茶な動きをしたせいで、思い切り体勢が崩れてしまう。
立て直すまでに数秒。
しかし、その数秒でベルンハルトはさらなる攻撃を叩き込んでくるだろう。
普通に考えて、体勢を崩している俺に抗う術はない。
まともに攻撃を喰らうことしかできない。
防ぐことも。
避けることも。
もう叶わない。
「終わりだっ！！！」
ベルンハルトの大剣が目の前に迫る。
