表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

127/287

127話 帝国への旅路

「おにーさん、挨拶は終わったか?」

「アニキ、おつかれさまっす!」


 少し進んだところで、セラフィーとヒカリと合流する。

 一応、気をきかせてくれたらしい。


 ちなみに、セラフィーは最近、俺のことを『おにーさん』と呼ぶようになった。

 作戦を一緒に進めて、俺の指示下に入るため、そう呼ぶことにしたとか。


 正直、彼女の感性はよくわからない。


「終わったよ」

「じゃ、これで問題なく帝国に行けるな。よし、ぶち殺しにいこうぜ!」

「まてまてまて」


 意気揚々と歩き出そうとしたセラフィーを慌てて止める。


「今回の目的、ちゃんと理解しているのか……?」

「帝国をぶっ潰すんだろ?」

「それは最終的な目的で、俺達は、革命軍に協力するんだよ。戦闘はあるだろうが、表立って戦うかどうかはわからない」


 ライラの作戦、それと状況次第だ。


 現状、俺達の出番はない。

 後方でサポートの予定だ。


 当たり前だ。

 俺が表に出たら、フラウハイム王国の関与が疑われる。

 白を切ることは可能だけど……

 それでも、帝国に開戦の口実を与えかねない。


 とはいえ、今回の作戦、絶対に失敗できない。

 どうしようもないところまできたら、俺達も表に出て戦うことになるだろう。


 そう説明すると、


「ちぇっ、つまらねーな。たくさんぶっ殺せると思ったのに」

「自分が言うのもなんですけど、とても物騒っす……」

「というか、この辺りは事前に説明されていたと思うが?」

「寝てた」


 頭が痛い。

 セラフィーが一緒で、本当に大丈夫だろうか?


「まっ、おにーさんは安心していいぜ。私がいる限り、勝ちは確実だからな。大船に乗ったつもりでいてくれ」


 それが泥舟でないことを祈る。




――――――――――




 王国を出て3日が経った。


 帝国まで、おおよそ10日。

 馬車は目立ち、いざという時に隠れられないため使えない。

 ある程度の日数はかかってしまうが、それは仕方ない。


 仕方ないのだけど……


「よぉ、兄ちゃん。両手に花で羨ましいねぇ、かわいそうな俺達にもおすそ分けしてくれよ」

「それと、ちょっと恵んでくれねえか? ここのところ不作でなぁ、食べるものがねえのさ。なぁに、有り金と荷物全部でいいぜ」

「もちろん、断るなんて選択肢はなしだ。わかってるな?」


 こういう連中に引っかかってしまうのは、ややもどかしい。

 こちらは急ぎの旅だというのに……


「おにーさん、殺す?」

「アニキ、処分するっすか?」


 傭兵と元暗殺者は、とても物騒な回答に辿り着いていた。


 いや。

 できるのならそうしたいが、なるべく騒ぎは避けたい。

 死体の処分も面倒だ。


「せっかくだから、連中に道案内を頼むことにしよう。この辺りを根城にする盗賊なら、地図に乗っていない抜け道を知っている可能性が高い」

「おぉ。さすが、アニキっす!」

「じゃあ、半分は殺す?」

「死体の処分も面倒なんだが……」

「なら、一人だけ残す?」

「増えているぞ」


 セラフィーは戦いに飢えているようだ。

 野生の獣よりも扱いが難しいな。


「おい、さっきからなにを喋ってやがる!」

「死にたくねえなら、金目のものと女、全部よこせ!」

「はぁ……ほどほどに手加減すること」

「あはっ、戦いだぁ!」

「ラジャーっす!」


 セラフィーとヒカリが突撃して……

 当たり前のことだけど、盗賊達はすぐに壊滅した。


 可哀想に。

 ヒカリはともかく、セラフィーに出会ったのが運の尽きだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ