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122話 革命は静かに進む

 帝国の富裕層にある、とある屋敷。

 地下室に設置された執務室に、ライラの姿があった。


「……」


 山積みにされた書類、一枚一枚にしっかりと目を通していく。


 現在の帝国の現状。

 革命軍の兵力や食料、武器、魔法具の数。

 同じく、帝国軍の兵力など。


 それらが詳細に記されていて、一つも無駄な情報はない。

 その全てを頭に叩き込み、計画を練り上げて、じっくりと進めていく。


「フラウハイムとサンライズが協力をしてくれたおかげで、だいぶ良い感じね」


 多くの物資を得ることができた。

 今、戦いが始まったとしても、一ヶ月は戦い抜くだけの物資がある。


「でも、まだ足りないわ」


 物資は十分に見えるが、あくまでも予測だ。

 そして、時に予測は外れることがある。

 不慮の事態に備えて、あとニ倍の量の物資を確保しておきたい。


 それと、人。

 絶対的に人手が足りていない。

 心強い同士はたくさんいるが、それでも、帝国という巨大な国を相手にするのには、まだまだだ。


 裏で呼びかけているものの、なかなか志願者は現れない。

 当たり前だ。

 大陸一の国である帝国で革命を起こす。

 普通に考えれば、自殺するような話だ。

 まともに話を聞く者は少ない。


「それでも」


 諦めるわけにはいかない。

 諦めない。


 必ず現体制を打倒して、健全な……本来あるべき、真の帝国を取り戻す。

 ライラは決意を新たにして、事務仕事の続きを……


「た、大変だっ!」


 ライラの補佐を務める男性が慌てた様子で駆け込んできた。


「どうしたのですか、騒々しい」

「皇女が、皇女が……!」

「リシテアが?」

「狩りを始めた!!!」




――――――――――




 中央通りに位置する劇場。

 そこは、革命軍の拠点の一つだ。


 舞台を上演する裏側で、革命軍の物資を保管。

 また、演劇の稽古と称して、兵士の育成に力を注いでいた。

 同時に、演劇を上映することで、革命軍の重要な資金源にもなっていた。


 ……その劇場が燃えていた。


 周囲に帝国の正規兵が陣を組んでいた。

 さらにその奥に、リシテアの姿がある。


「もう一撃よ、やりなさい」


 リシテアの合図で魔法が放たれた。

 火球が劇場を直撃して、炎が撒き散らされる。

 それに飲み込まれた人が悲鳴を上げて地面を転がる。


 彼は一般人だ。

 たまたま劇場を訪れていただけで、革命軍となんの関係もない。


 でも、リシテアは顔色一つ変えない。

 迷うこともない。

 幾度となく命令を下して、劇場を炭に変えていく。


「おのれぇっ、帝国を食い物にする悪魔め!!!」


 重傷を負いながらも、剣を持つ兵士が劇場から飛び出した。

 革命軍の兵士だ。

 剣を腰だめに構えて、リシテアに向けて突撃する。


 すでに全身に火傷を負っている。

 致命傷だ。

 しかし、タダでは死なない。

 悪魔と一緒に地獄へ……


「そいつも殺しなさい」

「がっ!?」


 リシテアの合図で帝国軍が動いて、革命軍の兵士は槍で串刺しにされた。


 ただ、絶妙に急所を外されているため、即死ではない。

 そのことを理解している様子で、リシテアは革命軍の兵士の前に移動して、ニヤリと笑いかける。


「ほら、あたしは目の前よ? もうちょっと頑張れば、あなたの剣が届くかもしれないわ」

「ぐっ、うぅ……き、きざまぁ……!!!」

「ほらほら、がんばって。その調子で、あたしを楽しませてちょうだい? ね?」

「こ、ここで俺が倒れたと、して、も……必ず、仲間が……お前をっ!!!」

「……つまらない答え。あーあ、なんか急に冷めたわ」


 リシテアは革命軍の兵士から離れて、最後に振り返る。


「無駄な努力、ごくろうさま」

「ぐっ……!!!」

「殺しなさい」


 リシテアの合図で、革命軍の兵士の首がはねられた。


 しかし、凶行はそれだけで終わらない。


「あと、劇場を徹底的に燃やしなさい。中にいる者も皆殺しよ」

「し、しかし……関係のない民間人も混じっているようですが……」

「今更でしょ? っていうか、それが狙いなのよ。こうしておけば、あたしに逆らおうなんてバカは消えるでしょ。見せしめよ、見せしめ」


 リシテアはとても楽しそうに笑う。


「あはっ、あははは……あーっはっはっはっはっは!!!」


 笑う。

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[一言] この女は両親殺されて貧民落ちしても同じ態度で人にあたって浮浪者にノクターンでも描かれないようなことされて路地裏に捨てられても誰もが同情しないだろうけどさ、姫たちも全会一致だろうけどさ、 …
[一言] (゜血゜#) 誰かこのクズ悪魔に永遠の痛みを与える呪いをかけてほしいです
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