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120話 小さい子は好きですか?

「お兄ちゃん、お兄ちゃん」


 休憩中。

 城の食堂で食事をとっていると、シロ王女がやってきた。


 メイドも執事も同行させていないみたいだ。

 幼い王女を一人にさせるというのは、ちょっと考えづらいのだけど……


 ただ、彼女の場合は別。

 有り余る行動力があるため、普通の者ではついていくことができない。

 それに、城に務める人の大半は善人なので、大きな問題はない。


 もちろん、予想外の事態を想定して、密かに護衛がつけられているらしいが。


「ちょっとアンケートに協力してくれる?」

「アンケートですか? はい、問題ありません」


 なんだろう?

 執事や侍女などの意識調査だろうか?

 それとも、不満に思うことを調べるとか?


「質問その1、結婚願望はありますか?」

「また唐突な質問ですね……ないというと嘘になりますが、今は、そこまで強く意識していません。相手もいませんから」

「なるほど、なるほど。希望は残されている、と」


 シロ王女は、手元のメモ用紙になにやら書き記していた。


「質問その2、年上が好きですか? それとも、年下が好きですか?」

「また妙な……えっと、どちらが好みということはありません。好きになった人がタイプなのかと」

「うんうん」


 いったい、なんのアンケートなのだろう?

 謎は深まるばかりだ。


「質問その3、年の差カップルについてどう思いますか?」

「そうですね……わりとよくあることではないでしょうか? 愛があるのならば、あまり気にしないかと」

「だよね!」


 なぜか食い気味だ。


「それじゃあ、続けて……」


 こんな調子で、二十近い質問を受けた。

 その全てが恋愛に関係すること。

 シロ王女は、いったい、なにを目的としているのだろう?


「うん。こんな感じかな? お兄ちゃん、ありがとう!」

「いえ。役に立てたのなら幸いです」

「ふっふっふ。シロもまだ可能性はあるね……これなら、いつかお兄ちゃんと……!」

「ところで、シロ王女」

「なに?」

「今のアンケートは、いったい、どのような意味が?」

「えっと……」


 シロ王女は少し考えて、


「この国の未来に関わることだよ!」

「えっ」


 とても大きなことを口にした。


 今のアンケートが国の未来に関わる?

 いったい、どういう……

 もしかして、少子化対策だろうか?

 いや、でも、フラウハイム王国が少子化で悩んでいるという話は聞いたことがない。


 ならば、いったい……?


「……シロとお兄ちゃんが結婚したら、お兄ちゃんが王族になるわけで、国の未来に関係することだよね。うん、嘘は言っていない」


 シロ王女がなにやらつぶやいていたが、声が小さすぎて聞き取れない。


「ねえねえ、お兄ちゃん。今日のお仕事は?」

「そうですね……午後から帝国に関する資料を取り寄せつつ、それをまとめなければいけません」


 予定を記した手帳を見つつ、答える。


「それ、シロも手伝ってもいい?」

「え? それは構いませんが……いったい、どうして?」

「どうしても」


 答えになっていない。

 しかし、シロ王女は妙に楽しそうだ。


「ダメ? いい? どっち?」

「えっと……問題ありません。お願いします」


 少し考えて、了承した。

 実際、人手は足りていない。

 ヒカリに応援に来てもらおうと思っていたくらいだから、ちょうどいいといえばちょうどいい。


 ……王女に働いてもらうという問題はさておいて。


「えっへっへー、お兄ちゃんと一緒にお仕事~♪ 二人きり~♪」


 シロ王女は、とてもご機嫌な様子で腕を組んできた。

 鼻歌も歌っている。


 色々と疑問は残るものの……


「……まあ、いいか」


 深く考えたら負けだ。

 そんなことを思い、シロ王女の好きにさせることにした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ルフィ「ずいぶんと恋心に鈍感なんだな」 サトシ「だよなあ」 越前リョーマ「そうだよね」
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