『おっ!円周率!』で笑っていた正之は異世界で
死の平原 最北端
「ピエロ君、魔力量を4倍に増やして欲しい。指は今やる」
慣れた手つきで左手の小指、薬指をちぎりとる
「はぁい(承 引 慣)」
契約が完了した直後に指を治癒魔法で直して増えた魔力が身体を正常に巡るように調整する
「こんなもんか」
取りあえず魔力総量では勝った。
あとは純粋な体術で勝負したいところだ。
が、
先程スキル《魔眼》で調べたところ魔法式神君の体術レベルは52。
······スキル《魔眼》で見たものは知りたい対象の能力値をその能力値の限界値で割って有効数字7桁、0から1.000000の値に収めて10倍してから整数値に直すことで、使用者に分かりやすく1~10の値で表示されるようになっている。
───(読み飛ばし可)───
例えば調べたい能力値の限界値が500、能力値が327とすると、
x=(327/500);//x=0.654;
y=整数値だけを取り出す関数(x*10);//y=6;
となって結果はレベル10の内、6となる。
ぶっ壊れてるとしか思えない。
恐らく魔眼のプログラムはざっと
let current_level = 能力値;
const MAX_level = 限界値;
current_level = Math.floor((current_level / MAX_level) * 10);
こんな感じのはず。
多分元の能力値の時点でカンストしまくってる。それに、今の魔眼じゃ正確に量り取れないということだろうが、、、
───(読み飛ばし終了)───
さっきも言ったが魔眼は1から10までしか表示できない。
正直『52!?、うぅぇ!?』としか言いようがない。
まともに闘っても確実に骨の1本2本は覚悟しておいた方がいいな。
「さて、どう出るか──────」
魔法式神君に向き直した途端、彼の右目が紅く怪しく光る。
その直後だった。
風を切る音と共に魔法式神君の右足が振り下ろされる。
重く、素早い衝撃を左腕で眼を隠すように受け止めるものの、更なる追撃が入る。
右胸、左肩、顔面、右腕、コンマ1秒の間に繰り広げられる音を置き去りにしそうな攻撃。
しかし伊達に魔神王をやっていた訳ではない。
全ての拳を受け流して言い放つ。
「恐ろしく速い手刀俺でなきゃ見逃しちゃ──ガッ!?」
ボケている最中も隙を見せないように限界まで警戒していたものの、それをすり抜けて鋭いアッパーが入る。
追加で腹に膝蓋骨で一発、宙へフワリと浮いた後、猛烈な速度を伴った回し蹴りを御見舞いされ、地面に激突しつつ宙に浮き、を繰り返しながら魔法式神君から距離を取らされる。
なんて強さだ。
予想以上だ。
体術52ってのはもう暇をもて余した神々が欠伸しながら作ったんだろうな。
「ハハッ、、」
もう、笑うしかできない。
レベルが違い過ぎる。
ムクリと起き上がると同時に、右から莫大な魔力を感じ、ボロボロな身体に鞭を打って回避行動を取る。
「≪光の式神≫ベレヌス ライツウォールズエリア、 ≪時の式神≫クロノス タイムズボーズエリア」
指揮官式神君によって俺を中心とした半径1メートルの空間の時が停まり、
指揮官式神君を中心に本人の左右前後に光の障壁のようなものが展開され、悍ましい程の速さで広がっていく。
「ぐぅ、がっ、、、!!!!」
転生直後に気づいたことだが、ソーマが常人よりフレリアの加護を3倍多く貰っていたり、俺はフレリアの加護は無く、寧ろ名前は覚えていないが、フレリアと対をなす2人の神様から加護を通常の2倍に受けている。
その影響か、俺はフレリアの加護の象徴と言われる光属性の魔法には滅法弱い。
今もこうして全力で光の障壁に弾かれている。
時を停められているので身動きが取れないまま、ただ無様に弾かれている。
「強すぎるだろ!!........」
光の障壁がうっすらと消え、体勢を立て直す。
状況を整理する。
魔法式神君は魔術、武術ともに極めている。先程の打撃で確信したが、多分体外に『気』を出して操れる程には気術も習得している。
───式神の殆どは元になった神様がいて、創られた式神にはいません、、、まぁ創ることなんてそう簡単にはできませんけど───
前世でアリーゼが教えてくれた知識の一つだ。
いくら俺でも察しがつく。
魔法式神がアルゴ
指揮官式神がユミエラ・バーサック
本当にそうだとしたら命捨てる覚悟で挑まないと三途の川を見ることになるな。
覚悟を決めて闘いに臨むアルトの遥か背後、1機のゴーレムが雷魔法で戦地へと駆ける。
アルトの元へ向かう途中に《雷神》、《鬼神》、《剣神》との戦いを経て学習したゴーレムは次なる任務を予測する。
アルト・テグラスを見つけた今、最優先すべきは保護と彼と共に撤退することである。
パーフェクトゴーレムは二体の敵を見据えた。
雷神や鬼神については次回ちゃんとかきまぁす




