休憩回 アルバート昔話1
ベイルート村近郊 東の魔神王 アルバートの城
東山正之が転生して326年───
今日も今日でまだ小さく幼いエルフの少女らによる可愛い戦争が繰り広げられていた。
「やー!ちゃはーん!ちゃはーんがいい!!」
叫ぶエイナス軍
「だめ!スーシーこそお米の究極なんだよッ!」
同じく駄々をこねるサリフ軍
「2人とも分かってない!お米はお餅が一番なんだよッ!」
米のなんたるかを語り出すデリア軍
「ねぇ、アレなにやってるの?」
「さぁ?可愛いからそれでいいだろ。」
放置するロックとザニー
魔神王の玉座の間で繰り広げられていたナイタープチ戦争にアルバートが動き出す。
「三人とも一触即発だ、これは不味いねネルス。」
少し誇らしげな顔でネルスが指示を出す。
「私達アルバート連合国軍はアリーゼお姉ちゃんを召喚して和平協定を結ばせるよう働きかけ、戦争を未然に防ぎます!出撃!アリーゼお姉ちゃんッ!!」
すると台所からキョドキョドしたアリーゼが状況を確認するために玉座の俺のもとまで口を運ぶ。
「ねぇ、台所でお米を何に使うか考えてただけなんだけどどういう状況なの?アルバート」
俺は半ば諦めたようにアリーゼに返答する。
「あー、お米を何に使うかでプチ戦争中なんだ。悪いけどノリにのってやってくれ。」
「あぁ、、うん、」
アリーゼはテクテクとナイター達の元へ行き、頭をクシャっと撫でてあげる。
「ちゃはーんがいい!ちゃはーん······」
「炒飯だよエイナス」
エイナス軍壊滅
「スーシーだよ!スー───」
「寿司ね、サリフ。」
サリフ軍全滅
「お餅!おも、、」
「普通のお米じゃお餅は作れないよ、デリア」
デリア軍消失
「「「······」」」
それぞれの間違いを指摘され、黙り込んでしまう3人。
「私はカレーを推すけど、、どうする?」
すると3人は何か察したような顔つきで、
エイナス「何ッ!?、かれー、、だと!」
サリフ「か、かれー、、!!」
デリア「フンッ、かれー、、、」
アルバートのせいでアニメの戦闘系キャラのような反応をする癖がついてしまっている3人に困惑するアリーゼ。
「、、どうかな?。。。」
エイナス「、、、」
サリフ「、、、」
デリア「、、、」
玉座の間に緊張が走る。
3人「「「賛成ッ!!」」」
玉座の間の謎の緊張感は解け再び城に平穏が戻る。
ハズだった。
そう、
ヤツが来るまでは。
「ご主人様~、例のお客様で~す、」
扉を静かに開いて入室するザニー。
扉の奥から現れたのは栗色の短髪エルフ。
《鬼神》オルヴァルド
俺が転生するよりも前、モノホンのアルバートが1000歳くらいの頃から冒険者やっている。
アルバートの魂を乗っ取ったのがアイツが約2000歳の頃だったから、今の年齢も合わせると1500年は生きている。
長生きだ。
称号は《鬼神》
『己の人生は闘い以外に在らず』
という自作の格言のもと、日々武術と剣術と魔法を極めていると聞く。
「よぉ!元気かアルバート!!」
こいつ、、
いっつも良いときに来るよな。
「今から夕食なんだ、泊まりで食べていくというなら歓迎するが、戦闘となると───」
ズンッ
俺は魔力を極限まで薄く練り、魔力孔から大量に放出する。
「容赦はしない。」
「!?、、、いつもよりノリが悪いな、、まぁ解った。今日は泊まっていくとしよう。
アリーゼ!俺の分は追加で作ってくれるか!?」
「できますよ、その代わりその子らの相手をしてやってくださいね。」
「おう、わかっ」
ガシッ
不意にネルスにズボンの布を掴みとられるオルヴァルド。
「おじさん、捕まえた、えへへ」
白米戦争の前まで《忍者ごっこ》をしていた彼女らにとって、気配を悟らせず背後を取ることなど造作もなかった。
「甘い!」
どこぞのオ○イロンのような発言のあと、
空中に浮いたオルヴァルドはナイター達全員を風属性の魔法で宙へ誘う。
「遊ぶ時に最適な場所は、、、」
オルヴァルドが扉のようなものを空間魔法で出し、その奥に亜空間を生成する。
「広場だッ!」
さらに風魔法で扉の中に吸い込みナイター達を亜空間へ入れ込む。
「てことでアルバート!夕飯になったら言ってくれ!」
続く──────
この時のナイターは本編に出てきた人数のみです、
ネタバレって嫌でしょ?




