古参アピール
まじで遅くなったほんとごめん、パソコンがさ、俺を離してくれなくってよ、、、
すいませんでした。
3000年前 魔神王の城
魔神王の玉座
「究極破壊魔法 虚空」
「!!、、、?、、」
······究極破壊魔法 虚空、、、?
独特な詠唱方法、、、
現代魔法基礎では使用魔法名をファイユルフス語(英語)に翻訳して行使するはず、
神の、、神聖術式を施して現代の魔法と比べ尚この威力ということは、、、まさか.....!
ヤツは現代の魔法基礎の概念を知らない!
知らないものは概念までは壊せない、例え知識が廃れてもッ!!!
現段階で虚空の威力は文明破壊を容易にできるだろう。だが今魔界に居る魔族達さえ生き残れば今殺せずとも1000年、、いや、3000年後には確実にゼリエスタを殺せるはずだ!!
まずは現代魔法基礎を知り尽くす下界、天界、魔界の魔法研究者の保護が優先だな。
「大丈夫かッ!!」
しかしそこに現れたのは──────
─────────
──────
───
現代 学園長室
「······今や古代魔法、か。」
「ん?どうかしたか?ザニー」
ネルスがソファに両腕を広げ寛いでいる。
それでもなんとか首をかしげる。
「いや、偏った知識は時に役に立たないもの、、、ほんと、長生きはしてみるもんだなぁ、マジで」
「生前、アルバート様も仰っていたが、今更古参アピールは恥ずかしいぞ?お前、、」
「うるせぇ、俺と同時期に来たくせに」
ま、ほんとに役に立たないよ、俺達だけでは。
後々魔族の知り合いに聞いてみたら、あの時助けてくれた2人の内1人の名前は『アルゴ』
なんと3000年前の魔法研究者のトップだったとか。。
さらに大抵の魔法術式はスキル《無限学習》で術式構造を理解できる上に、S級魔導師でもあったとか、パーティーも最強だったとか、
永久都市、、古代都市アルハマダラでは彼に敵うものは居なかったとかなんとか、、
そんなすげーヤツが率先して死にに行ったんだ。
てゆーか多分依頼自体は【魔神王の城の調査】とか、
もっと簡単なものだったはずだ。
、、さて、と、そうなるとこれからどうやって古代魔法を現代の魔術師達に教えようか。
現代の魔法基礎で重要なことは
・魔力総量
・魔力効率
と、あとこれが8割と言っても過言ではないが、
・固有魔法
この3つだ。
現代の魔法は固有魔法の術式(または常用魔法)に魔力を流し込み、術式を発動させる。
つまり最大の欠点は魔法使いとしての格が
「己に刻まれた魔法術式」
によって決められてしまうことだ。
弱すぎて周りから蔑まれたり、強すぎたが故に虚無感に蝕まれる日々を送る冒険者はそう珍しいものではなかった。
しかし古代魔法で大事なことは魔力総量でも魔力効率でもない。
さらに固有魔法の術式も関係ない。
そう最も重要なことは
「術式作成の練度」
だ。
古代魔法の基礎は現代の魔法とはかなり異なり、魔法術式は誰でも例外なく創ることができたのだ。
ただし魔法術式を創ろうものなら相当数の魔力が必要であった。
そこで登場したものが『魔石』だった。
現代と違って魔石はダンジョンでなくてもそこらに生えているものであり、雑草よりは貴重だったが日常の風景にはよく溶け込んでいたと思う。
魔石は種類にもよるが、Sランクの魔石ともなると教会や図書館の地下などに置かれて、術式を作成する人々の手助けをする役割があった。
古代魔法は固有魔法なんかによって優劣が決まる現代においてとくに知ってもらいたい技術の一つだ。
ゼリエスタに対抗するためにも現代の・・・特に若い世代に広めたいのだが、、
ん?、
俺はふとネルスの方に顔を向ける。
「どうしたザニー、もしかして私に惚れたか?」
冗談めかしく言うネルスにザニーは顔を近づける。
「なぁ、ネルス、」
ザニーは更に顔を近づける。
「なッ、なんだよ!、ザニー、、べ、別に私だってお前に興味がないわけじゃ、、、」
ネルスは口をモゴモゴさせる。
「俺に教鞭をとらせてくれないか?」
「、、、はい?」
ネルスの口から素っ頓狂な声が出る。
想定していた言葉と大分違うからか、驚くのも無理はない。
「ま、まあ構わないが」
未だ信じられずといった、何か次があるんじゃないかといった期待が残暑のように心臓の鼓動にこびりつく。
「そっか、ありがとな!手続きもそっちでしといてくれると助かる!」
ザニーはにぱっと笑う、、、
が、ネルスは逆に拗ねてしまったようで、
「も、もう知らない!」
足早に学園長室を出ていってしまった。
「なんなんだ?アイツ、、」
すると扉が再度開き奥から一人の男が顔を出す。
「ザニー、おかえり。早速で悪いけど今日の夜アルバ、、アルト様の部屋に集合だって。今後の作戦会議をするらしい。。。って、そういえばさっきネルスが大泣きしながら廊下走ってったけどありゃあなんだ?」
出てきたのは元闇徒 ロック・ゴルカット
ザニーはバツが悪そうにポツポツと話し出す。
「実は、な────」
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学園 学園長室付近 廊下
廊下には忙しなくドタドタと音が響き渡っていた。
(あぁ、もう!ザニーめ!!!!思わせ振りな行動しやがって、恥ずかしい勘違いしちゃったではないか!!)
彼が好きかどうか聞かれると正直自身をもってハイ
とは言えない。
私自身もよく分かってないのだ。
────思い出すアルバート様との生活。
夕飯の片付けとかはアリーゼ様が料理を作ってくださってたから私が率先してやっていたな。
『女の子一人にやらせるわけにもいかない。』
と手伝ってくれたっけ。
それに寂しいと言ったら添い寝までしてくれたし?、、
その時『ごめんね?』と言ったら確か『こんなことをするのはお前ぐらいだよっ』と返して────
あれ?
これ脈ありじゃね?、、、
そう思うとさっきまであふれでていた涙がスンと引っ込む。
「キャッ!?」
途端、誰かにぶつかってしまう。
「すまない、少し前を見ていなかった。怪我はない────」
ぶつかった相手は元七冠 サリフ・デリク
「ど、どうしたんだ?ネルス。泣いてるぞお前」
「サリフ~~!!!実はね────」
また涙があふれでた。
用語
常用魔法:固有魔法とは別に個人にデフォルトで必ず刻まれている魔法術式。
人によって属性が違うため、すべてを扱えるが多少の得意不得意がある。




