その瞳にウツルモノ
最近色々あってマジで書いてる暇がなかった。
ごめん!
地上 魔神王の城
「どういうことですか!父上!城を地上に移転するなどッ!地上への不可侵条約を蔑ろにしてはならないと言っていたのは誰でもない!父上、貴方です!」
虚ろな顔をする魔神王 ベラドル・フォン・エルバーナは彼の一人息子のザニーに向かってゆっくりと口を開き、
「ザニー、、余は、、、」
途切れそうな言葉に終止符が打たれたその瞬間、
ベラドルの顔は一変し狂喜と笑みに溢れかえる。
「ぷ、くくく、、うはぁ、フッ、、アハハハハハッ!!ウヒャヒャヒャ、、アーッハッハハ!!ウヒィ、くふっ」
「父………上………?………」
ザニーは何が起こったか分からず、頭の上にハテナを浮かべるばかり。
すると
ベラドルの白い髪がスゥと黒く染まり、淀んだ紅い瞳が神々しい金の瞳に代わる。
「あー、すまんすまん、つい面白くってな。お前の父親なら死んだぜ。ついさっきだけどな」
「どう、、いう、、」
呆れたような顔をして、元父上は他より一段高い玉座で足を組み直す。
「おいおい、これだから勘の悪いガキはよぉ、、このバカの肉体を乗っ取ったって言ってんだよ。
それにコイツの身体、、、
頑丈過ぎて乗っ取るのに手間かかったぜ全く。。。。
まぁ身体も乗っ取ったし、次は何すっかなぁ、、、」
ザニーは熊に追い詰められたヒトの如く、微々たるものではあっても、徐々に後ろに歩みを進めていく。
「父上の身体で何をするつもりだッ!!」
気づけばそう叫んでいた。
相手は格上、ベラドルの全盛期が可愛く見えるほどの圧倒的強者。
怒らせたら不味いことは言わずもがな。
「あ?なんだお前。邪神であるこの俺様が考え事してんのに邪魔しようってか?」
「ち、違───」
魔神王ベラドルこと邪神ゼリエスタは右手を前に差し出し、人差し指で十字に沿って空を切る。
「───破壊魔法 斷箜」
「ッ───!」
突如として空間に十字が刻まれ、ザニーの左腕が消し飛ぶ。
(これほどまでに強いとは······!今の魔法は恐らくゼリエスタ自身の······)
急いで切断された腕を治そうとするも戻らない。
魔族にとって腕の1、2本治すことは容易。
右足を出して左足を出したら歩ける、本当にその程度ことだ。
が、たった今それができなくなった。
体内魔力も感じる、術式も存在している。
つまり、今の状態が普通なのだ。
「破壊魔法って······そういうことかよ。」
今ヤツが放ったのは間違いなく破壊魔法だ。
だが対象範囲が大幅に拡張されている。
文献で見た限りでは作用するのはこの世のありとあらゆる物質のみ。
つまりヤツが使う破壊魔法は日常や不変にも干渉できる。
《腕が生えている》という日常を破壊し、腕は元々生えていなかったという日常に置き換える。
「不変の意味を一回調べてくれよ······クソッ!」
俺は即座に臨閃砲を撃つも、全くの無傷。
「おいおい、ゼリエスタ様がせっかく慈悲で斷箜だけで済ませてやったのによぉ。」
「不味いッ逃げないと───」
俺は直ぐに逃走の準備をする。
が、当然間に合うわけもなく······
「究極破壊魔法 虚空」
ゼリエスタの人差し指の上に現れた小さな黒い玉。
どこまでも黒く全てを飲み込む闇の飴玉。
ギギュウウウウウゥゥゥ!!!!!!
粘着物質同士が擦れるような音を出し、空気や魔素までも吸い込んでいく。
(このまま、、じゃ、、飲み込まれ、、、)
「大丈夫か!助けに来たぞ!!」
「大丈夫ですか!?」
(だれ、、かきたのか、、、一組の男女?、、一人は俺でも知ってる、、迷宮都市 マイアスデノスのSランク冒険者 ユミエラ・バーサック、、もう一人は、、、)
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「はぁ!、、、」
王家出身であるアリーゼ・レングラスは額に汗をかきながら、ベッドから上体を急いで持ち上げる。
「今のは誰の記憶?······」
ふと右に顔をやるとそこには愛しのアルト君。
とても驚いた顔をしていた。




