転校生
バラモンズ学園
「聞いたか!アルト!転校生が来るらしいぞ!」
ベルクが興奮気味に話しかけてくる。
でっかい行事の後の転校生。
日本のテンプレアニメ展開過ぎて逆につまらん。
そしてこの後来る転校生は主人公の運命の相手だということはお決まりだ。
だが、主人公格であるアベルにはエルレンという立派なヒロイン(多分)がいる。
ヒロインの前でNTRするようなヤツはさすがにこの学園に来ることはないだろう。
いや、そう信じたい。
しかし運命の神様はイタズラが仕事だ。
唐突にその《運命の相手》を押し付けてくるかもしれない。
でも大丈夫。
俺にはアリーゼがいる。
つまり大丈夫だ。
大丈夫なんだ。
きっと。
ーーー
ーー
よかった。
少なくとも女の子じゃなかった。
でもさ、
予想の斜め上だったよ。
θが150°だったよ。
コサインで言うと-(√3/2)だったよ。
転校生ってのはヤツだった。
ーーー
ーー
「転校生のナヴァル シーラインや。よろしゅうたのむで!」
独特な喋り方、日本で言う関西弁というやつだ。
だがしかし、この世界では言語の訛りがない。
そう。だからこそコイツはイレギュラーだ。
転生前のコイツの名は
西の魔神王 アレックス
俺と同じ魔神王の席にいた男だ。
何故ヤツがここに?
分からない。
「お!久しぶりやねぇアルトくぅん?」
「・・・・・・・あぁ、そうだな。」
転校生と馴れ馴れしく話す俺が皆の瞳に映る。
次第に皆が「アルト君と知り合いなのかな」とか騒ぎ出す。
「静かに!今日の一時限目は実習だ!皆この前のグループでやるように!転校生は──」
エイナスが俺の前まで来る。
「アルト。お前と組んでもらう。」
「はぁ?」
俺は咄嗟に二文字で反論するが、エイナスは聞く耳持たず。。。
「それでは各生徒はグループごとの配置につけ。」
不気味に笑うアレックス。
「よろしくねぇ。」
ーーー
ーー
「皆、、位置に着いたな。それでは始め!!」
本当にそのまま実習が始まる。
「召喚魔法 使い魔召喚 アリス、タルタロス」
二つの魔法陣が現れ、アリスとタルタロスが呼び出される。
「うぉ!?すごいな~。使い魔かぁ。俺できひんからなぁ。」
この実習で使われる森は、バラモンズ学園が所有するものだが場所は学園を北の方にかなり進んだとこにある森を使う。
それ故森の面積はひとつの国に相当するとも言われる。
ゴールは森の中心。
森の縁から約3日。(エイナスがそう言ってた。)
それを今、俺達元魔神王の二人はは時速360キロで駆け抜ける。
休まず歩き続けて2日半。
一般的な歩行速度が時速3.6キロだとすると、
2日半だから60時間。
森の縁から中心まで216キロ。。。
この計算だとあと36分後くらいにはゴールに着くな。
いや!つまらん!
せっかくの実習、意味がない!
今のところ出会った魔物は身体に当たった瞬間肉片になって、くだけ散っている。
やっぱり普通に歩こう。
「なぁ、」
俺はスピードを徐々に落とす。
それに気づいたアレックスも徐々にスピードを落とし、
数秒にも満たない内に理想の時速3.6キロでとどまる。
「なんでスピード落とすんや?」
「本気で走ると実習の意味がない。それにアリスとタルタロスが疲れるだろ?」
アリスとタルタロスの方に目をやると、
全力の飛翔且つ、俺とアレックスにぶつかった魔物の血液やら体液やら肉片やらで、もう全身がベトベトだ。
「休憩にしよう。野営の準備を────」
「召喚魔法 ヴォイスラックベア」
突如として詠唱された召喚魔法。
俺達四人の周りに30匹を超える数の災害級の魔物、ヴォイスラックベア
が出現する。
俺は戸惑うばかりだった。
ヴォイスラックベアに、ではない。
それを召喚した者。
「、、、どういうことだよ、アレックス!!」
アレックスの口がまたニヤリと笑った。
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