大掃除
アルトの異絶燐丙間のお陰で、観客のほとんどが眠っている。
闘技場
「なんだ、いきなり吹き飛ばされたと思ったらアリーゼとかいう女がいないではないか。。。まぁいい。。それで?お前らごときが私を止められると?」
目の前の威勢のいい魔族は
タルタロスの実の姉 ウィーデル だ。
「姉貴、あんたは踏んじゃいけない地雷を踏んじまった。いくら俺でも庇いきれねぇ。だからごめん、殺すよ。」
するとウィーデルは余裕の満ちた表情で腕を組む。
「ハッ!少し見ない間にずいぶん偉くなったもんだなぁ?お前が私を殺すって?できるわけねぇだろ!!身の程を知れ!!」
ウィーデルの魔力がまるで砂嵐のようになってアリスとタルタロスを襲う。
「水魔法 反逆ノ巻龍」
「火魔法 隸属ノ飛龍」
タルタロスの水、ウィーデルの火によって、辺り一面が煙に包まれる。
が、
僅に出力の差でウィーデルの火魔法が勝ち、タルタロスに火でできた龍が噛みつく。
「あぐぅっ!!!」
「どうだタルタロス!これが力の差だ!
お前に私は倒せ━━━━」
タルタロスの口角が地味に上がる。
「かかったな、バカ姉貴。」
遥か上空から狙いを定め、太陽よりも眩しい聖なる光がウィーデルの周りを包み込む。
「天照!!」
バーベキューで焼かれる肉の音に似た音が、ウィーデル全体から鳴り出していた。
ジュウウウウウゥゥ!!!
「ギャアアアアアアアァァァ!!!!」
ウィーデルの魔力が浄化の作用で、凄まじいスピードで減っていく。
しかし、、、
「いない!?」
浄化による煙が消えると、ウィーデルはいなくなっていた。
「どうする!?追う?タルタロスくん。」
「いや、いい。あの魔力量だ。じきに死ぬ。」
アリスは未来の義姉を傷つけた感覚が忘れられず、複雑な気持ちで胸が一杯だった。
(でも、、タルタロスくんの前だから、、明るく振る舞わなきゃ。)
「お、お疲れ、帰ろっ、、、か」
「おう。、………?」
ーーー
ーー
ー
「ハァ、、ハァ、、、クソッ!タルタロスを引き入れてクソ親父を暗殺する計画がこれでパァだ!!どうしてくれんだよぉ!」
なんとか生き延びたウィーデルは草木が生い茂る森の中を左半身を引きずりながら着実に歩いていく。
「オヤオヤ、ドウシマシタカ?ソンナモノナノデスカ?アナタノフクシュウシンハw」
「うるせぇ!」
隣から茶々をいれてくるのは《例の教会》幹部の魔法人形。
「ソレナラアナタハモウヨウズミ。シンデ────」
魔法人形、ウィーデルが同時に感じた魔力。
表面は憎しみと憎悪で覆われているが、中には優しさと慈愛────
「あんたどっかで、、、」
ウィーデルは足を止める。
それが命取りになるとも知らずに。
「ニゲナサイ!ウィーデルサン!コイツハ────」
「聖魔法 閃光華」
辺り一面。
少なくとも半径100メートル以内はその
聖魔法
によって暖かく包まれる。
「幻影聖魔法 神楽ノ宮七聖人」
魔法によって生成された、触れることのできない構築術式を持つ七人の聖人が二人を囲う。
そして現れた七聖人の一人が口を開く。
「────だ。──────に属する─────よ。裁きの時間だ。」
「なん、だ?上手く聞き取れ」
ウィーデルと魔法人形。
次の瞬間には最古の浄化魔法による効果で跡形もなく存在を消されたという。




