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魔神王アルバート、モブになる  作者: 神谷悠人
学園編
25/62

真実の愛とかバァカヴァカしいけどアリーゼは違う

「よ、よろしくお願いします。」


「こちらこそ。手加減は無しだぞ。」



三メートルの距離を保ち、互いに会釈する。


「それでは、、、始めッ!!」


カーンという控え目な鐘の音と共に俺とアリーゼは真正面へ蹴り出す。


ギィンッ!!


金属が激しく擦れる音が会場全体にこだまする。


すごいなアリーゼは。

隙が見えない。

良くできた剣術だ。


ま、




「きゃっ」




俺の姉ほどではないけど。



アリーゼの持っていた剣がいとも容易く弾かれる。

しかし、すぐに剣を取り、攻撃に移るアリーゼ。


「私は負けません!優勝するんです!そしてアルト君と──────」


もしかしてこれはアリーゼに花を持たせた方がいいのでは?

どのみち俺が本気を出せばここ一体、、、いや、王国が焦土になるだろう。



よし。


次の攻撃で、思いっきり場外へ行こう!


「やぁ!!!」


アリーゼの剣が俺の剣と交差した瞬間、俺は30パーセント程の筋肉出力で後ろへ華麗に飛び出す。


これはモブ魔法の中でもかなり高難易度な技。


マジシャンズ・モブ バッキングジェットパワーッッッ!!!



「ぐぁ!!」



やられた!

と言うのに相応しいうめき声を出す。

ちょっと出力が高すぎたかな?

観客席の下の壁に激突したんだけど、岩が背中で砕け散るのを感じる。


「アルト君、、、?」


そこで会場の実況が入る。


「おぉぉっっっと!!!?!場外だッ!!

ここでシード枠のアルト テグラスが敗れたぁぁぁ!!!!アリーゼ レングラスの無敗神話はまだまだ続く模様でえええぇす!!!!」



無敗神話?

すごいなアリーゼ。


ーーー

ーー


「アルト君ッ!!!」


退場通路の中間にいた俺の背中側から入り口の方で声がした。


「アリーゼ?」


「なんでさっき、、わざと負けたの!」


「ああするしかなかったんだ。ごめんよ。」


優しく笑いかける。


「なんで………………………、、」


え?やべ!アリーゼが泣きそう!!


禁忌魔法 地点操作魔法!


彼女の絹のような柔らかい頬に手をそっと置く。


「告白、楽しみにしてるよ。」


もう一回。


優しく微笑みかける。


すると、アリーゼは手をぎゅうっと握りしめられ、程なくしてから振りほどいて急ぎ足でその場を離れていく。


も、も、もしかして、、、嫌われ、、


「あ、アルト君の分まで、、頑張るから!!」


恥ずかしがりながらもそう言って、決勝戦へとそのままアリーゼは行ってしまった。




、、、ちょっとカッコつけすぎたかな。


ぜひ爆発しよう

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