真実の愛とかバァカヴァカしいけどアリーゼは違う
「よ、よろしくお願いします。」
「こちらこそ。手加減は無しだぞ。」
三メートルの距離を保ち、互いに会釈する。
「それでは、、、始めッ!!」
カーンという控え目な鐘の音と共に俺とアリーゼは真正面へ蹴り出す。
ギィンッ!!
金属が激しく擦れる音が会場全体にこだまする。
すごいなアリーゼは。
隙が見えない。
良くできた剣術だ。
ま、
「きゃっ」
俺の姉ほどではないけど。
アリーゼの持っていた剣がいとも容易く弾かれる。
しかし、すぐに剣を取り、攻撃に移るアリーゼ。
「私は負けません!優勝するんです!そしてアルト君と──────」
もしかしてこれはアリーゼに花を持たせた方がいいのでは?
どのみち俺が本気を出せばここ一体、、、いや、王国が焦土になるだろう。
よし。
次の攻撃で、思いっきり場外へ行こう!
「やぁ!!!」
アリーゼの剣が俺の剣と交差した瞬間、俺は30パーセント程の筋肉出力で後ろへ華麗に飛び出す。
これはモブ魔法の中でもかなり高難易度な技。
マジシャンズ・モブ バッキングジェットパワーッッッ!!!
「ぐぁ!!」
やられた!
と言うのに相応しいうめき声を出す。
ちょっと出力が高すぎたかな?
観客席の下の壁に激突したんだけど、岩が背中で砕け散るのを感じる。
「アルト君、、、?」
そこで会場の実況が入る。
「おぉぉっっっと!!!?!場外だッ!!
ここでシード枠のアルト テグラスが敗れたぁぁぁ!!!!アリーゼ レングラスの無敗神話はまだまだ続く模様でえええぇす!!!!」
無敗神話?
すごいなアリーゼ。
ーーー
ーー
「アルト君ッ!!!」
退場通路の中間にいた俺の背中側から入り口の方で声がした。
「アリーゼ?」
「なんでさっき、、わざと負けたの!」
「ああするしかなかったんだ。ごめんよ。」
優しく笑いかける。
「なんで………………………、、」
え?やべ!アリーゼが泣きそう!!
禁忌魔法 地点操作魔法!
彼女の絹のような柔らかい頬に手をそっと置く。
「告白、楽しみにしてるよ。」
もう一回。
優しく微笑みかける。
すると、アリーゼは手をぎゅうっと握りしめられ、程なくしてから振りほどいて急ぎ足でその場を離れていく。
も、も、もしかして、、、嫌われ、、
「あ、アルト君の分まで、、頑張るから!!」
恥ずかしがりながらもそう言って、決勝戦へとそのままアリーゼは行ってしまった。
、、、ちょっとカッコつけすぎたかな。
ぜひ爆発しよう




