大会準備
入学式の日から時が経ち、あっという間に夏になった。
そう。
この学園の夏といえば アレ がある。
強き者だけが生き残る格闘技祭
ーーーバラモンズ祭ーーー
が!!
だが強き者と謳っている以上、モブである僕は予選落ちすればいい。
アベルやバルトとかが順調に勝ち進んでいって、
『バルト!予選を勝ち進んだようだな。』
『お前もな。アベル。』
とか言いながら汗だくの二人が拳でコツンとかやってる時に、治療室でベッドに横たわるのが理想的なモブと言えよう。
ーーー
ーー
「あ、アルト、あんたは予選抜きで本戦のシード枠に入れといたから。よろしく。」
生徒会室で書類整理をする姉さんの口からとんでもない言葉が飛び出した。
予選で落ちることができず、本戦の序盤で落ちることもできない。
詰んだ。
今すぐ説得しなきゃ。
「ね、姉さん!いくらなんでも勝手すぎるよそれは!」
すると姉さんはニヤニヤしながら挑発的な目でこちらの方を見る。
「へぇ~。そんな生意気なこと言っちゃうと、アリーゼにあなたの昔話、しちゃうよ~?」
同じく書類整理をしていたアリーゼの肩がビグッとしてから目をキラキラさせながらこちらを見る。
「聞きたいです!アルト君の昔話!」
「そうね。あれは、アルトが四歳の話。軽い気持ちで魔法を撃たせたら山が──────」
げぇ、山が吹き飛ぶ話じゃん!
絶対に引かれる!!!
「あああああああーーーー!!!!!、分かった分かった!じゃあ頑張るから!頑張るからその事アリーゼに言わないで!」
まったくもう、とか言いながら姿勢を組み直す姉さん。
「私の弟として、恥のない試合にしなさいね?分かった?今からでも自主トレすること!!」
「はい!」
元気よく挨拶して俺は生徒会室から出ていった。
ーーー
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