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魔神王アルバート、モブになる  作者: 神谷悠人
学園編
20/62

普通の授業

一時間目


魔法基礎


場所は魔法実習教室。

日本の理科室みたいな所。

すごく薬品とかの匂いがする。


ガララとドアをあけてエイナスが入ってくる。

生徒に座るよう促して、教室の隅々まで伝わる声でしゃべる。


「いいか!今からお前らには魔法で《氷の花》を作ってもらう。ただし実習のあとだからと気を抜くなよ!チャンスは三回までだ!!」


すると奥から手が挙がる。


「先生!花の種類は何でも良いですか?」


エルレンか。


「花は各々自分がもっとも美しいと判断したもので良い。他に質問がないようなら───」


「先生。」


「アルト テグラスか。なんだ言ってみろ。」


「どのくらいの大きさが目安ですか?」


拍子抜けした質問に少々戸惑うエイナス。


「お、大きさ?、、うーん、、まぁ、どんなに大きくても長さを30センチ、、いや、やっぱり30センチの花を皆つくってくれ。」


皆が急に悩み出す。

まさか大きさのことを考えてなかったのか?


エイナスはそれを無視して号令をかける。


「それでは、、、、、始め!」


皆が一斉に図面に絵を描き出す。

俺はそんな中一人でぽかんと口をあけていた。

と、隣に座っているベルクに話を聞こう。


「な、なぁ、ベルク?皆何してるんだ??」


「は?何って図面かいてんだよ。芸術的な魔法を使うにはまず設計図からだろ?」


え?そうなのか?、、、


とりあえずモブになりきるためにも適当に線を引いて、、、



「氷河魔法 乱青菊ミダレアオギク


パキパキと音を立てながら、青く輝く菊の花たちが開花する。

よし、こんなものか、、、ん?


「ア、アルト、、お前「氷結魔法」じゃなくて「氷河魔法」を、、使うんだな。。。はは、、、、」


ベルクがめちゃくちゃ驚いている。

何か変だったか?


「す、すごいよ!アルト君!氷河魔法なんて!千年に一度の逸材じゃないか!!」


称賛してきたのは同じクラスの、、、


「ロベルト君、、、だったっけ?」


「うん、名前覚えててくれたんだ!」


それにしても千年に一度の逸材かぁ、、、また目立ってしまうかもしれないなぁ。。。

ここは注目の的を変えよう。


「あ、あーこれは、、その、、、じ!実習の時に!アベル君達が教えてくれて、、そのお陰でできるようになったんだ、、はは、、、」


「「ええええええぇぇぇ!!!」」


皆から歓声が上がる。

そして一気に皆の視線がアベルに向く。


「い、いやぁ、、はは、、でもあれはアルト君の才能によるものだし、、、」


アベル!?裏切ったなぁ、、、


「おい、アルト。その花を見せろ。」


声をかけてきたのはエイナス。


「ど、どうぞ。」


エイナスはその花をジロジロ見続ける。

そして一つの刻印に気づく。


「ア、リー、、ゼ、、、」


エイナスは恐らく気づいた筈だ。

この《乱青菊》はアルバートだった頃に

今は亡き妻アリーゼに送った物だ。

そして名前も刻印しておいた。

それを再現したんだ。

気づかない方が馬鹿だろう。


「アル、、バ、、」


「どうかされましたか?エイナス先生?」


俺は挑発的に問いかける。

エイナスは唇をギュッと噛みしめて感情を圧し殺す。


「良くできた花だ。でも細部が乱雑になっている。

もう一度、氷結魔法で一輪のみ作ってみろ。」


「そっち」を選んだか。

エイナス、お前は良くできた部下だよまったく。


「分かりました!」

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