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魔神王アルバート、モブになる  作者: 神谷悠人
学園編
13/62

野宿

私生活の忙しさにも負けずに頑張るゾー

そこら辺から木を拾って、火魔法で火をつけて焚き火は完成した。


簡易テントを建てたところで、皆が焚き火を囲うように集まった。


最初に口を開いたのはアベル、


「あの、、さ、、、アルト君の、、、話なんだけ、、、ど、、、、」


話しづらそうに言葉を放つアベル。


そういえば話す約束をしたんだったな。


「俺は─────」


こいつらはあの勇者パーティーの子供達だ。

このまま話して他言しない可能性はゼロじゃない。

でもこのまま話さなければこいつらはもっと俺を疑い、警戒するだろう。

そうなれば俺の夢である「モブ生活」なんて夢のまた夢になってしまう。


覚悟を決めろアルバート!


腹をくくれ!!!



「俺、、は、、、」


焚き火を囲む皆が固唾をのんで見守る。


「俺は 東の魔神王 アルバートの生まれ変わりだ。魔神王の生活に嫌気がさして、勇者達に封印してもらった。その封印空間で自害して、今に至る。」



俺が話終えてから何分が過ぎたのだろう。

いや、体感の話だ。

きっと十秒もたってないが、かなり長く感じる沈黙が続いた。


「アルバート、ですか。」


沈黙を破ったのはアベルだった。


「あぁ。今まで黙ってて悪かった。だが、俺だってこの名前を振りかざしたくない。穏やかな生活を送りたいんだ。だから、、その、、」


俺の話を遮って、聖女の娘が話し始める。


「他言しないように。ですか?」


炎に照らされて映る彼女の目は真剣そのものだった。


「あぁ。頼む、この通りだ。」


俺は前前世の知識史上最高のおねだりポーズ、


土下座


を披露した。


アベル達が一斉にとめにかかる。


「お、お止め下さい!アルバート様!」


「へ?」


聞き間違いじゃないよな?

今様付きで呼ばなかったか?こいつ、、、


「な、なぁ、何で俺のこと様付きで呼ぶんだ?魔神王ってのは邪悪で暴虐な、、、」


俺がそう言うなり、アベル達は一斉に吹き出した。


「アハ、アハハハハ、フフ、、、ちょっ、ちょっと、思考が古すぎやしませんか?アルバート様?」


聖騎士の息子が笑いをこらえながら俺に言う。


「どういうことだ?魔神王は悪の象徴ではないのか?」


「その考えはかなり古典的ですよ。フフッ、むしろ 歴史 ですね。今は魔神王は神として崇められています。特に東の魔神王、貴方がね。」


「俺が?か?」


「はい。」


その後聞いた話によると、勇者パーティーがアルバートこと東の魔神王を倒しに行ったさいに、俺ら魔神王が友好的だと分かったらしく、

魔神や魔族を抑制して、王国に損害がないのは魔神王のおかげだ、という考えが広まったらしい。

なんてめちゃくちゃな、

まあいいか。


「あ、そういえば自己紹介まだでしたね。

私は《聖女の娘》のエルレン・ハルバトール、後方支援担当の魔術師です。」


「俺は《聖騎士の息子》バルト・ベイカーズだ。よろしく頼む。」


ふーん、エルレンにバルトが。

覚えておこう。


「それで、、」


アベルがおずおずと質問しかける。


「あぁ、俺とは普段通りで接してくれ。妙に敬称とか敬語はいいから。」


「そ、それもそうなのですが、、、そちらの方はどなたなんですか?」


アベルの指、エルレンとバルトの顔の先には使い魔として召喚した天使


アリスがいた。


「えっ?私??」

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