討伐
「準備ができた!みんな一時撤退してくれ!!」
アベルらが撤退すると同時に森の木々をすり抜け、
《飢餓猫》めがけて目一杯地面を蹴る。
「お手伝いします!」
「あ、あぁ。」
さっき「使い魔」として召喚したはずだった
女神族のアリスも一緒に木々を縫うように駆け抜ける。
朝陽がヴォイダーキャットの額にある魔石とは別の「魔鉱石」と呼ばれる鉱石が反射して強く輝く。
「身体強化、跳躍力上昇、抵抗軽減」
現代でも使える強化系魔法を三つ同時に発動する。
「 其身に溢れる余多の魂よ 異界を繋ぐ獄門よ
裁きを照らすひとつの刃となれ 」
横で一緒にいるアリスだが、詠唱か。
流石に女神族といえど、無詠唱はちょっときついってことなのか?
それとも無詠唱の文化は廃れてしまったのか?
まぁどちらにしろこっちの準備もできた。
この実習は3日以内に指定されたゴールにつくこと。
時間は充分にある。
アリスについては野宿するときにでも聞けば良いか。
「空間魔法 異絶燐丙間」
結界を張って、内部の壁面に薄く拒絶魔法の効果を付与する。
魔力が低出力で済む割に強力な魔法として、前世の頃はすごく人気だった魔法のひとつだ。
「 天照 」
へぇ、紛いなりにも女神族だな。
最古の浄化魔法か。
これは驚いた。
「ンニ゛ャァァァ!!!」
異絶燐丙間の拒絶の効力と天照にライフがゴリゴリ削られて、うめき声をあげるヴォイダーキャット。
「チェックメイトだ。」
俺は腕を伸ばして掌をヴォイダーキャットに向ける。
「煉獄炎」
今度は一部の詠唱を省略して、炎魔法系統の最強格の一つ、煉獄炎を撃つ。
うめき声が止んだ途端にゴロっと魔石が俺の足元に落ちてくる。
流石はヴォイダーキャット。
魔石は俺の手より少し大きいぐらい。
かなりでかいな。
ふと気がつくと、勇者達が恐る恐るこちらに向かってきている。
「終わっ、、たのか?、、、」
声を出したのはアベルだ。
色々ありすぎて混乱しているのだろうな。
混乱して回らない頭でやっと出てきた言葉がそれか。
「さっきまで明るかったのにもう暗くなってきている。さっさと、、、」
「き、君は!、、」
話を遮られた。
まあ当然っちゃ当然だがな。
「君は一体何者なんだ?、、、」
「その事については後で話す。とりあえず野宿できる場所を探そう。」
アルバートの妻は魔族
アルトの使い魔は天使
作者が好きなのはサキュバス
サキュバスっていいよね。




