実習
「まさかアルバート様だったとは、、本当に申し訳ございません。」
今俺の目の前で頭を下げるのは、先ほどまで偉そうにしていた学園長ことネルスだ。
「お前らの情報をくれ。特にソーマのことについてだ。」
頭をあげたネルスはどこか言いづらそうに言葉を続けた。
「今、ソーマ様は━━━━━」
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学園敷地内 試練の森
「よし。それでは皆の者、話を聞け。今から実習を行う。」
五 七 の列で並ばされた生徒たちの反応は様々だった。
勇気を奮い立たせる者。
恐怖しおののく者。
嬉しそうにガッツポーズを取る者。
アニメ化したときに、目が表示されないモブの位置にこっそり移動する者。
その中でも、アルトは特に他の者の観察を怠っていなかった。
モブ値という独自の数値を収集、平均化するためである。
「これから、四人に分かれてもらう。班になれたところからなるべく森を囲うように配置についてくれ。」
来た!ついに来た!!!
班決めはモブの見せ所の代表格といっても良い。
主人公格であるアベルは今頃
《聖女の娘》、《聖騎士の息子》
とあと適当に一人選んで班を作っているころだろう。
ちょっとたじたじ気味にな。
一方モブである俺はベルクといった奴らと一緒に背景になって目が描画されないまま右手を軽くあげながら駆け寄るのが完璧なモブだろう。
てことでベルクを誘───
「悪いな親友、もう班を組んでしまった。またの機会にな!」
ベルクぅ、、、裏切り者めっっ!!!
このままではモブとしての役目を完遂できない!
はやく!はやく班を作らないと!
「あの、、アルト君?僕の、班に入ってくれたりするかな?、、、」
「、、、、あぁ。もちろん、、、いいよ、、、」
アベルめ。完全に俺のモブ計画を破壊してくれたな。
絶対に許さない。




