プロジェクト-ExBrain(エクスブレイン)-
「この計画は、既存のメガドールを1から見直し機体及び武装の大幅な改修、単身で戦局を塗り替える一騎当千の機体開発でした。
耐久性、機動性、エンジン出力、武装の威力増加や広範囲を殲滅可能な戦略兵器、1ヶ月無補給で活動可能なジェネレータ等々、ありとあらゆる要素を詰め込んだ機体。
それが、貴女が今搭乗している「ExBrain」です」
エクスブレイン...それがこのロボットの名前。
と、説明を受けてひとつ疑問が浮かぶ。
「待って、そんなロボットに何故わたしを乗せたの?軍のパイロットは居るんでしょ?」
「当然の質問ですね、これには理由があります」
理由?わたしが乗らないといけない理由?
「簡単な話です。貴女でしか耐えられないからです」
「どういう事...?」
「エクスブレインはありとあらゆる要素を詰め込んだと言いましたね?
その結果、オーバースペック過ぎて誰も扱えない機体となりました。
原因は色々あるのですが、最大の問題点は加速性能です。
最大初速でマッハ10、最大速度はマッハ30、余りの速さに性能を最大限に活かせるパイロットは居ません、加速するだけで確実に死にます。
ですが、脳だけである貴方なら耐える事が可能なのです。
今貴女の脳が収められている容器は最新技術による対ショック処理が施されています。
また、思念による操作が可能なので手足を使う必要は無く、高いGで手足が動かせないということも無い、それが理由です」
「ほ、他には居ないの?わたしみたいに脳だけで保管されていた人は...」
「ええ、何人かは居ました。
中には軍のパイロットだった者も数人、ですがバグズの襲撃で保管されていた施設が壊滅、全て破壊されています、貴女以外にはもう居ません。
また、脳の摘出手術の志願者も出ていません、そこまでして戦場に赴く者は居ないと思います。
尚、配備されているメガドールの性能は通常のパイロットが耐えられる限界まで引き上げられており、武装はともかく機体自体の強化はもう望めないでしょう」
...つまり、わたししか乗ることは出来ない...
そしてこれは多分人類の希望だ。
わたしがやらなければ地球は滅ぶかもしれない、
拒否することも出来るだろう、でも、それは緩やかな死を待つだけだ。
何時かはバグズの襲撃を受けて死ぬ、遅かれ早かれ...だったら...!!
「さて、ここまで説明したうえでこの様な事を聞くのは卑怯極まりないのですがどうしますか?
降りて普通に暮らして行く事も可能です、代わりの身体を用意することも出来ます。
幸いにもこの地域はバグズの襲撃もかなり少ないので他よりは安全でしょう、確実ではありませんがこの調子なら20年くらいは多分大丈夫です、それまでは他都市も耐えるはず」
...わたしの答えはもう決まっている、こうなったらとことんやってやろうじゃない!!
「わたし、戦います!!このExBrainで!!!」




