目覚め
意識が急速に覚醒していく感覚、
そう、誰かに起こされる朝のような感じ、
その声に促されるようにわたしはゆっくりと目を覚ました。
寝過ぎたのだろうか、頭がかなりぼ~っとしている。
寝惚け眼で辺りを見渡してみると...なんだかおかしい。
何時もの見慣れた病院の天井ではない、何というか...工場とでもいうか、あちこちに見慣れない機械やランプが沢山付いた計測器ぽいものや、小さい車の玩具が幾つか置いてある。
というか...寝てるというよりも、立った状態で何かに固定されている感じがする。
確か、寝る時はベッドで横になっていたはずなんだけど...
と、今の状況がよく分からず何がどうなっているのかと考えていると。
「おはようございます、目覚めたようですね。気分はどうですか?何処か具合が悪いところはありませんか?」
ふいに男の人の声がした。
したのだが...姿が見えない。やはり身体が固定されているようで、首くらいしか動かせないのであまり周囲を見渡せないのだが、やはり居ない。
一体何処から?...と思っていると、再び呼び掛けられた。
「此処ですよ此処、貴女の足下です」
...足下???
何故足下に?...もしかして足下で寝ているの?
何で?
と至極当然であろう疑問を廻らせながら首を下げ足下に目をやると。
そこには掌にでも全部収まりそうなくらい小さな人形が立ってわたしを見上げていた。
何でわたしを見上げるようなポーズを取らせた人形が置いてあるのだろう...それを不思議に思いつつ眺めていると。
「初めまして守代あすかさん。私は守代進、この研究所の開発部門担当主任であり、貴女の身体を設計した者です」
と、人形は説明すると頭を下げて挨拶してきた。
...う、動いた、人形が動いてしかも喋った。
まだ夢でも見ているのだろうか、頬をつねりたいところだけども手が動かないのでつねれない。
ちょっと頭が混乱し始めていると、人形はさらに続ける。
「貴女が今どの様な状況に置かれているか分からないでしょうから、これから順を追って説明します。
と、これだと話しにくいですし、今そちらに向かいますので少々お待ち下さい」




