修学旅行
透けるような青空の下、秋めいてきたのか気温も高くなく朝はやや肌寒い。
今日はクラス全員で仏閣巡り。
わたし達は今修学旅行に来ている、普通は中学三年生になって行くのだがこの不安定なご時世、行ける内に行ってしまおうということになっているらしい。
そんな訳で中学一年生一同、計122名は由緒正しき都内を周っている最中だ。
此処もあまりバグズの襲撃を受けていないのか、破損している箇所も見られず他校の生徒や観光客で賑わっている。
わたし達は幾つかのグループを友達同士で組んでいる、わたしは神樹さんとペアだ。
「わ~立派な像だね~」
仏閣門の左右に大きな像が立っている、長い昆を携えた仁王像で悪鬼を払うが如く険しい表情をしている、バグズも追い返してくれないだろうか。
「邪気を払い福音を招き入れるって書いてあるわね」
神樹さんが像の前にある説明書きを見る。
「あっちから見てみようか」
門を潜り中を見渡すと幾つか建物があり、取り敢えず右手にあるものから見ていくことにする。
中に入ると沢山の仏像が展示されていた。
どれも筋骨粒々で、錫杖や剣、金剛杵等色々な仏具を手にしている。
「此処は仏像が並べられているのね、色々あるわ」
「そうだね~」
と、この様に修学旅行を満喫中なのだが...
実は今わたしは戦闘の真っ最中である。
訓練のかいあってわたしは二つの身体を同時に動かしている、エクスブレインで戦闘しつつアンドロイドの身体で体育の授業を行ったりする事も可能になった。
これでアンドロイドの身体を何処かに置く必要も無くなったという訳だ。
フライとローカストをスパイラルナックルで粉砕し後ろから射撃しようとするビートルにブレインソードで切り伏せる。
更に突っ込んでくるローカストの群れを返す刀で横にスライスし最後にブレインスパークで残りを殲滅させた。
ちなみに今日の出撃は三度目、日に日に研究所への襲撃が増えている、困ったものだ。
バグズの殲滅が終わり研究所に戻るとエクスブレインを格納する、さて旅行に専念するとしよう。
次は門から見て正面の建物に入る、本殿らしく他のよりもかなり大きい。
中は長い通路が左右にあり、入口正面の案内図を見るとどちらに行っても一周して来れるようで順路は右からのようだ、右向きの矢印も壁に貼られている。
通路には書物やら写真やら色々展示されており、各々に説明が書かれていた。
「仏閣の歴史に経典、歴代の住職と」
「此方には精進料理の写真とかもあるわね」
通路の展示物を見終わり本殿を後にする、腕時計を見ると結構時間が経っていてそろそろ集合時間だ。
「もうすぐ時間だしあそこのお土産屋見ていこうか」
「そうね、そうしましょ」
神樹さんとわたしは本殿近くにある土産屋へと足を運ぶ、小さなおみくじ型アクセサリーや香炉等が置いてある。
それらを眺めていたのだが、ふと神樹さんの方を見ると何やら凝視している、何があるのかと覗いてみると...
「こ、これは...マジカル(本気狩る)アイの御本尊シリーズ!?しかもこんなに種類が!!」
神樹さんがブルブルと震えている、そこには主人公の姫野愛が色々な構えをしている小型の像が沢山陳列されていた。
御本尊ではあるのだが、その容姿とポーズのせいで修羅か悪鬼な様にしか見えない、なんというか禍々しささえ漂っている。
というか仏閣でマジカル(本気狩る)アイグッズ売っているのもどうかと思うけど...
「すいません、これ全種下さい!!」
神樹さんが財布からお金を取り出し店の人に頼む、30体くらいあるけど全部買うのか...値段見たら一体2000円...六万越えるんだけど...
店員が箱に入っている愛御本尊を袋に詰めていき、神樹さんはお金を払いそれを受けとる、てかこの前フィギュア買ったばかりなんだけどお金持ってるなぁ...
「さ、行きましょ」
買い物も終わり、わたし達は集合地点に停まっている旅行バスへと戻って行った。
ちなみにわたしはおみくじアクセサリーを購入した、振って出てきた結果は中吉だった。
尚、この時点で出撃回数は五回目であり、占いの結果はあまり当たっていないようだ。




