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鋼鉄機動少女ExBrain(エクスブレイン)  作者: トイレの花子
23/30

買い物

晴れ渡る夕暮れの下、学校の放課後わたしと神樹(かみき)さんは町の商店街に来ていた、文房具とか小物等を買う為だ。


まずは文房具店に向かう、商店街入口から真ん中辺りにあるらしい。

文房具店へと歩きながら周りを見ていて思ったのだが、わたしの時代から300年と経過していて、もっとこう未来感バリバリで超高層ビルだらけで

車はパイプの中を通っててあちこちにロボットが居て人々はテレポーターで移動でもしてるんじゃないかと思ったのだが、そんなことはまるで無く

、わたしが知る商店街そのものだった。


肉屋ではおばちゃんがコロッケを揚げて売ってるし、八百屋ではおじさんが道行く人に新鮮な野菜を勧めている。

本屋の店頭には雑誌が並んでわたしが知ってるコンビニも普通にある、てか300年経ってもあるのには驚いたが。


が、そこは時代の流れというか技術の進歩というか、細かいところで違う。

家電製品店に並んでいる携帯電話らしき物は小型化が進みボールペンサイズになっていて画面は空間投影式、テレビも同様で掌サイズ、道を走る車やバイクはタイヤが無く少し地面から浮いていた。


洗濯機や冷蔵庫は流石に小型化は無理だったのだろう、わたしの知るそれと変わっていなかった。


「着いたよ、此処が文房具店」


神樹さんが店の前で止まり、見ると「藤島文房具」と書かれている。

自動扉の入口をくぐり中に入ると文房具が所狭しと陳列されている、こういうのは時代が変わってもそのままのようだ。


わたしが買うのはシャーペンの芯と消しゴムだ、店内を探していると直ぐに見つかった。

目当ての物を取り出して、ふと気がついた。

商品名と値段の札が小形の液晶モニターになっていて、それに表示されていた、他のを見ても同様。

こういうとこも技術が進歩したんだなと感じる。


神樹さんも目的の物を見つけたようで、二人でレジに持っていく。電子マネーと現金を選べるようでわたし達は現金で支払った。

後で所長に聞いたところ、インフラが停止した場合を想定して今も現金は使えるらしい。

バグズの襲撃でインフラが止まる所も増えてるようで最近は現金支払いも多いそうだ。


支払いを済ませて外に出て再び歩き出す。

商店街を行き来する人達の喧騒の中、色々な店を過ぎて行くと...


守代(かみしろ)さん、ちよっとあそこに寄っていい?」


神樹さんが指差す方には一件の商店がある。

見るとショーケースの中に幾つか人形らしき物があった。


「うん、じゃあ行こうか」


わたしは頷いて神樹さんとその店に入る。

どうやらプラモデルとかフィギュアを扱っているようで、あちこちに完成品等が見本として展示されている。

何時の時代も需要はあるらしい、美少女物も沢山ある、やたら肌色率が高いのも幾つか見えるが...


「こ、これは...マジカルアイのブルマバージョン!!?しかも、あの一瞬だけ映ったハミパンシーンじゃない!!!」


展示品を眺めていると、唐突に店の奧から神樹さんの大声が店内に響き渡る、何事かと思いそちらに行くと、神樹さんがとあるフィギュアを前に何やら興奮していた。

見るとそれは、神樹さんがこの前に勧めてきたアニメ「魔法少女マジカル(本気狩る)アイ」の主人公、姫野愛(ひめのあい)のフィギュアだった。


体操着にブルマ姿で胸には「ひめのあい」と書かれている、これだけ聞くと可愛らしく聞こえるがこの姫野愛、●●勇●●とブ●●ーを足して倍にした用な風体をしており三つ編みおかっぱ、顔は厳つい白眼の劇画調、そしてフィギュアは震脚の構えをしていた。


そして何故かブルマから少しはみ出している白い布。


正直、(おぞ)ましい以外の何物でもないのだが、神樹さんは何だか恍惚の表示でそれを眺めている。


真面目で大人しい神樹さんにこんな一面があるとは。


「素晴らしい...この力強い構え、愛らしい体操着とブルマに雄々しい姿、そしてハミパンによる魅惑...買います!!」


神樹さんは財布を力強く握り締めるとそのフィギュアを購入したのだった。


税込み2万3400円


支払いが終わりフィギュアの入った箱を袋に入れて貰って受け取ると神樹さんはこちらに歩いて来た、見て分かるくらいの上機嫌だ。


「お待たせ守代さん、さあ行きましょ」


店を出て他に買う物も済ませ、わたし達はファーストフードショップに入り注文をする、わたしは

ダブルチーズバーガーにポテトSとコーラ、神樹さんはハンバーガーにポテトSと烏龍茶だ。


品物を受け取り二階の二人用席に座る、まずはハンバーガーを齧りポテトを摘まむ。

あ~、このジャンク感とポテトの塩味が堪らない、そしてコーラでリセットしてまた頬張る。

神樹さんも美味しそうに食べている、それから会話しながら食べ終え、残ったコーラを飲んでいると神樹さんが箱からフィギュアを取り出して手に取り眺め始めた、と。


「あら?何かしらこのボタン?」


良く見るとフィギュアの台座の裏にボタンが複数と液晶パネルが付いていた。

神樹さんかボタンを触ると...


「さあ、死合おうぞ」


わたしは思わずコーラを吹き出した、フィギュアからアイの台詞が飛び出したのだ、あの低音おじさんの声で。

どうやら目覚ましにもなっているらしく、ボタンと液晶は時間設定に使うようだ。


神樹さんはキャーキャー言いながら大喜び。


...毎朝あれを聴くんだろうなぁ...

わたしは何度も音声を再生する神樹さんを見ながらそう思うのであった。


「さあ、死合おうぞ」

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