期待
バグズとの開戦から2年が過ぎようとしていた。
メガドールの戦闘能力はバグズよりも数段上回っており、1対1で負けることはまずありえない。
しかし、無数に現れるバグズの圧倒的な物量、機体生産の限界、メガドールの搭乗員不足により戦闘は長期化、連邦軍は徐々に劣勢を強いられていた。
~2323年7月30日 連邦軍研究所 極東支部~
G県K村のとある小高い山、その中腹に建てられた三階建ての研究所、そこでは地下深くの施設にて対バグズ用の兵器開発が日夜行われている。
「ええ、開発は最終段階でして、機体は完成しており試験テストさえ終われば。
後はパイロットなんですが...ええ、いかんせん全てにおいて規格外でして、通常のパイロットでは身体が持ちません。
全力で動けば強化スーツを着ても加速に耐えられないでしょう、ええ、確実に死にますね。
ですが大丈夫です。1つ心当たりがあります、アレなら性能を完全に引き出せるでしょう、ええ、手配はしてありますので数日中には...それではまた...」
地下にある薄暗い研究室、白衣を着たやや背の低い痩せ気味の男は電話の受話器を下ろすと少しずれた眼鏡を上に直して呟いた
「...もう直ぐ、もう直ぐです。貴女と共にこの星を...」




