帰還
研究所に帰還してわたしは地下の格納施設に戻ってきた、わたしが目覚めたときに居た場所だ。
誘導に従ってゲージに立つとコードやケーブルが自動で接続される。
戻った際に遠堂隊長達とは直ぐに別れた、色々あるので手短に解散するように守代進から言われたのだ。
「お疲れ様でした、初陣にしては中々でしたよ」
目の前にスクリーンが開き、彼が話かける。
「あはは、そうですか?こういうの得意じゃないんですけどね~...と...」
ふと思う、そういや彼をなんて呼べばいいのか、よく考えたら一度も呼んでなかった。
「えっと、何てお呼びすればいいですかね?」
「ああ、何でもいいですよ、皆からは所長って呼ばれてますけど」
成る程、名字は同じだし下の名前で呼ぶのもなんかあれだし、ならそれでいいか。
「じゃあわたしも所長で。
ところで、わたしは今後どうすれば?流石にこれで終わりじゃないですよね」
わたしの質問に所長は眼鏡を右手で上げ。
「そうですね、あすかさんには今後訓練を継続しつつ出撃要請が入れば都度各地へ出撃して頂きます」
まぁそうなるよね、もっともバグズと戦うことはわたしが決めたことだし問題はないんだけども。
「取り敢えず今日は疲れたでしょうしこのまま休んで下さい。
スクリーンでテレビとか見られるようにしておきますので暇でしたらどうぞ、スクリーンに触れればチャンネルも音量も変えられますので」
テレビか...今の時代ってどんなのやってるんだろう、というかこの状況下で娯楽的な番組ってあるのかな...
等と考えながら休ませて貰うことにした。
それから数日、毎日の訓練に加え時折くる要請による各地への出撃。
特にこれといったことは無かったのだが...
どうにも休まらない。
休めないというわけではない、休憩時間はたっぷりあるしテレビや動画も見られるので暇というわけではない。
何故休まらないか、答えは一つ。
この身体である。
出撃時以外は固定やメンテナンスの為に常に立った状態なのだが、これが問題なのだ。
人間立ったまま休んだり寝たりするようには出来ていない、ロボットなので疲れはしないのだがこう...精神的に何か辛い、落ち着かない。
しかも出撃しない限りは身体を動かすことが出来ない、よって何か腕を動かしたり足をぷらぷらさせたりも出来ず...
苦痛!!まるで棺桶にでも入れられた気分になってくる!!
後、何か食べたい!!
脳の維持用に液体を循環させていてお腹は減らない、いや胃は無いんだけど、減らないように出来ているらしい。
が、テレビで美味しそうな料理が映されたら気分的に空いてくるのだ!!
お肉食べたい!!シュークリーム食べたい!!女の子だもん!!!
...という訳で精神的に鬱積していく一方なので、所長に相談することにした。
「ふむふむ成る程、確かに立ったままだし身体も動かせませんしね」
スクリーン越しに所長が頷く。
「分かりました何とかしましょう」
え、何とかなるの?ご飯食べるられるの?
流石に飲食はロボットだし無理だろうと思っていたので意外である、言ってみるものだね。
だがこの時のわたしは思ってもいなかったのである、まさかあそこまでするなんて。




