防衛
研究所の敷地から5km程離れた研究所と町を繋ぐ道路、そこに立つは5体の黒い陸戦型メガドール。
それらは各々アサルトマシンガンを携え、迫るバグズの群れを待ち構えていた。
その内の1体、前頭部に細長い角のような物が付いている、恐らくリーダー機であろう、その機体から各機に指示が飛ぶ。
「全員よく聞け、今から数分後にはバグズ共が研究所を目指してここを通過する、俺らの仕事は奴等の殲滅だ。
だが情報によると今までにない数が押し寄せているらしい、出来るなら全滅させてやりたいところだが恐らく押しきられるだろう。
後から援軍が来ると所長から通達もあった、可能な限り減らしはするが無理はするな、全員生き残れとの事だ。
...死ぬんじゃねぇぞ!!」
「おぅ!!」「了解!!」「やってやりますよ!!」「ヘへ、腕が鳴るぜ!!」
各員からそれぞれ気合いの籠った声が上がる、とそのとき。
「レーダーに感知!!隊長、来ましたバグズです、その数...500!!」
隊員の報告にどよめきが走る。
「随分とまぁ集まったもんだな...上等だ!!野郎共、気合い入れてくぞ!!」
隊長が激を飛ばすと隊員達はそれぞれのポジションへ配置に着く。
「さあ、かかって来やがれ!!」
押し寄せるバグズ達との戦闘開始から何分経っただろうか、落としても落としても次から次へとバグズがやって来る。
飛んで来るのはフライのみで一体一体は大した事ではないのだが、その圧倒的物量に隊員達は徐々に押され始めていた。
フライの攻撃は至って単調で、突進による体当たりだけである。
が、単に真っ直ぐ突っ込んでくる訳ではなく、時折旋回したり左右に動いて来る、しかも移動速度がそれなりに速いので群れで来ると厄介な相手である。
「ちっ、相変わらず動きは速いな...おっと、行かせるかよ!!」
隊長機の横をすり抜けて研究所に突っ込んで行くフライを後ろからアサルトマシンガンで数体打ち落とす。
が、その間にも次々とフライが隊員達を抜けようと押し寄せてくる。
「コイツ等目的は研究所のみかよ、こっちには目もくれやしねぇ」
そうこうしている間にもフライはその数を増していく、とその時。
「くそっ、隊長!!フライが数体防衛ラインを超えました!!」
「こっちもです!!どんどん増えて迎撃が追い付きません!!」
隊員達の報告に隊長の顔が曇る。
「数が多すぎる...やはり俺達だけでは防ぎきれんか...」
後方に下がりつつ抜けたフライを落とすか、しかし下がればそれだけ後が無くなってくる、
そしてこのまま押され続ければそのうち研究所にたどり着かれてしまう。
「...通過したフライを放っておけば、落とし漏らした奴が増えれば増えるだけ研究所が危険になる...仕方ねぇ、迎撃しながら少しずつ下がるしかねぇか」
隊長がそう決断し、隊員達に指示を出そうとしたその時...
「...これは!?た、隊長!!研究所から何か向って来ます!!...何だこの速さ!!?
...距離4000通過...もう到着だと!?...あ、あれは!!?」
隊員の報告に研究所の方を隊長機が振り返る、すると上空へ蒼を基調としたカラーリングの機体が凄まじい速度でやって来る。
「...なんだあれは...拠点用重量型でもあんなでかくねぇぞ...しかもどんだけ速いんだよ、あり得ねぇだろそんなん」
そのあまりの光景に隊長は絶句するしかないのであった。




