戦闘訓練2
「以上でエクスブレインの一通りの武装となります」
あれから小一時間程経過し、スパイラルナックル、プラズマシュートから始まり、
二対の追尾誘導型射撃兵器「プラズマビット」
エクスブレイン以上の大きさを誇る流体特殊合金製大剣「ブレインソード」
胸部の放射プレートからプラズマビームを発射し前方広範囲を凪ぎ払う「ブレインブラスター」
以上の使用訓練が終了した。
...全て完璧に覚えるの大変だなぁ...全部に音声入力とイメージ発動あるし...
「さて、いよいよラスト、
これが終われば全ての武装訓練の完了です」
「え、まだあるの!?」
「はい、そんなに時間もかかりませんので頑張って下さい」
まぁ...最後ならいいけど、覚えきれるだろうか...
「ではいきましょう。
その前にダミーを追加します、かなり遠くに配置しますので遠方の確認用にレーダーを使用して下さい。
適当にレーダーぽい物をイメージすれば自動でオンになります、オフにする場合は消すイメージで出来ますよ、では配置しますね」
言われた通りにイメージすると...
お~、目の前に球状のモニターが現れてなんか数値やら方角やらが表示されて...んん?
レーダーに映ってる、この白い点が多分ダミーのフライだよね?
何か数多すぎ...300って数字が端で明滅してるけど...これ、まさか...
「2km先にダミーを300体配置しました、これを撃破して頂きます」
「いや待って、これ全部倒すの!?」
余りの多さに声を上げる、流石にこれは大変じゃない?
が、彼は特に気にすることなく。
「大丈夫です、一回で終わりますので」
えぇ...この数一回ってどうやって...
「この武装は超広範囲、かつ高威力の戦略級兵器です。
ブレインブラスターのような指向性ではなく、極限まで圧縮し射出されたプラズマ弾が着弾点で炸裂、プラズマを解放し半径1km四方を無差別に焼き付くします。
電磁フィールドを搭載しているエクスブレインでも巻き込まれれば大破しかねないので使用には気を付けて下さい。
また、圧縮プラズマ弾の生成に10秒程のチャージと、発射後の再使用可能まで30秒かかり、連射が利かない点も注意して下さいね」
色々制限があるのね...ていうか範囲広いな...まさに必殺技か。
「それでは開始します。
今までのはイメージまたは音声入力どちらかで使用出来ましたが、これは威力と範囲の関係上からセーフティの為に幾つか手順があります。
他のとやることは大差無いので、説明通りに行って下さい」
まぁそうだよね、こんなの音声一発で使えたら危なすぎるよね。
「まずは両手を胸の前で少し離して合わせます、そうしたら両手の中に弾を作り徐々に大きくするイメージをして下さい」
言われた通りに両手を合わせイメージしていく...すると両手の中で光輝く弾が出来き、段々大きくなってくる。
「いいですよ、そのまま10秒間続けたら大きく腕を拡げて「ブレインストーム」です、
後は高速射出されてダミーの中心で炸裂します」
掌サイズまで大きくなったプラズマ弾、後は腕を拡げて...
「ブレインストーム!!」
わたしが叫ぶと、前方へと圧縮されたプラズマ弾が光輝く軌跡を描きながらダミーの群れに突き進む。
あっという間に中心に到達するとそれは急激に膨張し荒れ狂うプラズマの嵐が光と破壊を撒き散らし全てのダミーを包み込んでいく。
「うわ...こんだけ離れてるのに凄い眩しい...小さい太陽みたい...」
暫くすると光は小さくなり、消失する。
ふとレーダーを見るとダミーの数は0になり、無数にあった白点も全て消えていた。
「ダミーの全滅を確認、これにて訓練は終了です、お疲れ様でした」
言われてわたしは胸を撫で下ろす。
は~、やっと全部終わった~...
身体が機械だから疲れはしないけど、精神的に疲れた...
何が飲んで一息つきたいところだけど、飲めないのがなんとも。
いや、機械だしオイル補給とか出来るのかな?
美味しそうでは全くないけど。
「では仮想空間は閉じて現時空間に戻し...」
と、彼が言いかけたその時。
『緊急事態発生、緊急事態発生。
全職員及び防衛部に告ぐ、当研究所へバグズの接近を確認。
繰り返す、当研究所へバグズの接近を確認。
職員は直ちに最下層地下施設へ避難して下さい、繰り返す、職員は...』
けたたましいサイレンと共に館内放送が流れる。
バグズの接近?こっちに来るの!?
でも今防衛部って言ってたし、大丈夫だよね?
「もしもし、私です、状況はどうなっていますか?...ふむ、成る程...近隣の軍は?
...そうですか...防衛部隊は出撃しましたね?...分かりました、部隊を展開して出来る範囲で、決して無理はしないように、直ぐに応援を向かわせます」
何やら誰かと話してるみたいだけど、まだ仮想空間の中なので様子が分からない。
と、急に視界が歪み、景色が元居た場所に戻る。
どうやら仮想空間から切断されたようだ、目の前に彼も居る。
「え~っと、バグズが向かって来てるんですよね?」
わたしが問うと彼は端末を胸にしまい、顔を上げる。
「ええ、バグズへの対処に研究所の防衛部隊を出撃させました。
しかし、かなりの数なうえに近くの軍も別の場所へ全部出払っているようでして、尚且つうちの防衛部隊は最小限しか配備されてませんでね、このままだと研究所諸とも全滅の恐れがあります」
「ですのであすかさん、いきなりで何ですが貴女に出撃をお願いします」




