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蒼き輪廻の果てに 〜転生したら青い鳥だった件〜  作者: 水猫
第一章 「青い国」
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9話 青か灰色か

「ああ、そうだ、コバルトお風呂入る?沸かしておいたから。昨日からお風呂入ってないでしょ?もうそろそろ夕方だし、まだ傷も痛むかもしれないけど、よかったら入ってゆっくりしてきてね」


そういえば戦った後に気を失ってから、結構体も汗ばんでるな。風呂か。なんだか懐かしい。


コバルトは部屋を出て、ライトに案内され、浴室へ向かう。着替えは浴室に用意されていてたので、服を脱ぎ、裸になった。


背中に青い羽が生えている。少し力を入れると、バサッと羽が勝手に動き、一本の羽根が落ちた。


コバルトは羽根を拾い上げて、それを眺めた。そして自分が鳥族ということの自覚が生まれた。そして本当に鳥であるならば、この背中の羽もちゃんと使えるはず。そしてそれを使うことができればあのネイビーのように。


コバルトはそんなことを考え、浴室に入った。すごい、かなり広い浴場だ。5坪はあるだろうか?そして人が一人入るような広さではなく、もっと何か違う大きな生き物が入れるかのような、大きな浴場だった。


そして洗い場と、シャワーが3カ所ほどあった。軽い銭湯のような風呂だ。浴槽もとても広く、人が6人は入れそうな広さだった。


お湯の色はもちろん青とはいかず、普通のお湯だった。コバルトは体を流し、お湯に浸かると、風呂をでた。そしてタオルで体を拭くと、背中に生えている羽も拭いた。


その時何やら奇妙な感じがした。背中の羽をタオルで拭くなんて変な感じ。えーとたしか鳥は濡れても水を弾くようにできているし、たしか羽を広げて日光に当てて、乾かすんだっけな。


コバルトは風呂を出てから着替えると、ピュアとライトのところに出向いた。そうだ、少し羽のことも聞いてみよう。強くなるには、この羽の使い方もできるようにならなければいけないし。


しかしどこを探しても、一人と一匹の姿はなかった。あれ?どこに行ったのか?


そうすると、家の外で何やら声がするので、コバルトは行ってみた。どうやら客人が来ているようだ。


「ああ、コバルト、お風呂どうだった?ちょうどよかった。今、あなたを呼びに行こうと思ってて。こちらはアイス。あなたに話があるんだって」


ピュアがそう言って、客人をコバルトに紹介した。その客人というのがとても小さくて可愛い女の子だった。人間でいう8歳くらいだろうか?顔にはそばかすがあり、人間の灰色の服とスカートを履いていた。見た目は普通の人間なのだが、コバルトと同じように、背中から羽が生えていて、羽の色と目の色、髪の色が、ん?灰色?のように見える。


「あ、こんにちは。鳥のおにーちゃん、はじめまして。私、アイス・ブルー・ハーピーと申します。アイスって呼んでね。どうぞよろしくお願いします」


アイスはそういうと、スカートの裾を両手でもち、首を少し横に傾げてニコッと笑い挨拶をした。ああ、これは可愛いお嬢様だ。とても愛くるしい。そして背中から羽が生えているのがコバルトにとってさらに共感を覚えた。


「はじめまして。コバルトと申します。アイスでよかったのかな?羽の色、灰色なんだね。俺と同じ鳥族なのかな?」


「え?灰色じゃないよ。アイスブルーだよ。ああ、おにーちゃんには灰色に見えちゃうのかもね。光加減もそうだけど、色って人によって見え方が違うから」


ああそういえば、よく見れば青色にも見える。けどアイスブルーという色は明確な定義はなかったはず。けど、アイスと名付けられたのか?


「あとねー、アイスは将来アイス屋さんになりたいの!だからアイス!あたしアイスだいすきだからさー」


(ああ、将来の夢ね…)


「あとねえ、あたし、鳥族じゃないよ。悪魔族。ハーピーの化身なの。けどあたしも本当は鳥族に生まれたかったなー。空を飛ぶの、上手なんだもん。あたし早く動けないし」


ああ、鳥族ではないのか。なるほど、よく見れば足は人間の足ではなく、鳥の足だった。ハーピー、たしか神話に出てくる。半分が人間だが、半分鳥の生き物だ。初めてみた。


「ねえねえ、鳥のおにーちゃん、これできる?」


アイスがそういうと、両手を前に出し、背中の両翼をペチンと内側に打ち付けた。ああ、この子、もう羽の使い方を熟知しているな。


コバルトは両手を前に出し、アイスの真似をして羽を内側に打ち付けようとした。しかし、まだ羽が体に馴染んでいないのか、うまく動かなかった。


「えーっと、あ、イタタタ」


羽がうまく動かせず、痛みが走った。そうすると、バサッと羽が勝手に動き、青い羽根が何枚か散った。まだアイスのようにうまく動かすことはできないようだ。


「アイス、変なこと教えない!」


ピュアがアイスに注意をすると、まあまあという感じでライトが間に入った。


「ピュア、ここはアイスに任せよう。俺も君も羽を持ってないし、他の鳥族はネイビーの圧力でコバルトに会うことは難しいだろうし、まあ厄介なものだ。だから同じ羽を持つもの同士として、まずはアイスに羽の使い方を教わるしかないだろう」


「ん、まあそれもそうかもね」


アイスはそう言われると、嬉しくなったのかライトの方にいってライトを抱き抱え、ほうずりをしながらこう言った。


「わーライトありがとう。やっぱりライトはあたしのことわかってくれるねー。あたしライト大好きー」


ライトはアイスに抱き抱えられると、手の下だけを持ち上げられたので苦しくてもがいた。あ、もうちょっとちゃんと抱えてくれ。


アイスはライトを地面に下ろすと、両手を前に出してコバルトにこう言った。


「おにーちゃん、練習。両手を前に出して」


「ん?こう?」


コバルトも言われた通り、両手を前に出す。そしてアイスは背中の羽を動かしながらコバルトに教えていく。


「イッチニ、イッチニ、イッチニ」


アイスは掛け声と共に背中の羽を動かす。コバルトも真似をして背中の羽を動かす。少し動かせるようになってきたようだ。


こうしてコバルトは、鳥族の最初の基本動作の背中の羽の動かし方をアイスから学んだ。きちんと練習すれば空も飛べるようになるのだろうか?

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