84話 黄色い体育会系
(クソ!クソ!今の一撃!こいつピュアよりも威力が高い!あたしの植物によるシールドを崩せる攻撃力の持ち主なんてそうそういないはずなのに・・・!)
ハンタはクロムを睨みつけたまま次の攻撃の手順を考えていた。スピードも威力も今まで戦ってきた魔族とは桁違いだ。下手をすると一瞬の読み違いであっと今にやられてしまうだろう。
「リーフカッター!」
ハンタが叫ぶと宙から大量の葉っぱが出現した。ハンタお得意の葉っぱの嵐、リーフカッターだ。
「いけ!リーフカッター!」
ハンタが叫ぶと大量の葉っぱがクロムに向かって飛んでいった。クロムはその技を見て大いに驚愕していた。
(な、なんだこれは!?葉を操る力だと?こんな技も使えたのか?)
クロムは驚き、宙に逃げる。しかしリーフカッターは誘導型でクロムが逃げようがどこまでも追いかけてくる。そしてその数はあたり一面を覆い隠すほどの量だ。
「ちい!厄介な技を使うな!爆閃雷!」
クロムが地面に右腕を叩きつけ再び雷による爆発でリーフカッターを相殺する。しかしそのあまりの数の多さに次から次へと飛んでくるのでこれには流石のクロムも手を焼いた。
そして次の瞬間、何とクロムを目掛けて無数の矢が飛んできた。葉っぱと同時に矢が飛んできたのでクロムは瞬時に反応することもできず、何本かクロムの体を切り裂いた。
「グッ!」
クロムは無数の矢と葉を魔法防御と両手でガードするが、あまりの数の多さにガードしきれなかった。そして次の瞬間、再びクロムの元に一本の強力な矢が飛んできた。
「ブリーズバリスタ!」
リーフカッターとブリーズアロウの無数の矢と葉の嵐の中、さらに一本の大型の強力なバリスタがクロムの体を目掛けて飛んでくる。クロムはその矢に対して再び雷の技で対抗する。
「雷鳴球芯!」
クロムが叫ぶと先ほど大きな球体の雷が出現した。最初に使った球体とは違い、今度はかなり大きな球体だった。そしてあたり一面にあった葉っぱと矢は全て相殺された。
「おのれ!ハンタ貴様!」
クロムはハンタの猛攻にかなり手を焼いた。ハンタはリーフカッターとブリーズアロウ、ブリーズバリスタと三つの攻撃を同時にクロムに浴びせた。流石のクロムもこの数の攻撃を全て防ぎ切ることができず多かれ少なかれダメージを負った。
(クソ!あれだけの同時攻撃を受けてダメージはあの程度か!やはり飛び道具では致命傷は与えられない!直接魔力を叩き込むしかない)
ハンタはコバルトと戦った時の教訓を生かして一切の手を抜かずに攻撃の手を緩めなかった。このクロムは少なくともメイズ以上、そしてコバルトと同等かもしくはそれ以上の実力を誇る相手だ。コバルトの時は味方同士ということもあって安心していた部分もあったが今回は気を抜けない。生きるか死ぬかだ。
「クハハハハ、面白い!面白いぞハンタ!そうだ!やはり戦いというのはこうでなくてはならない!スポーツでは味わえなかったこの感覚!生きるか死ぬかの弱肉強食の世界!」
クロムが高らかに声を張り上げ笑うとハンタはゾッとした。セリフから察するに何かの運動部の強化部活に入っていたのだろう。体育会系で根っからの戦い好きだ。闘争心にありふれている。戦闘に対するセンスも抜群で身体能力も魔力も潜在能力もずば抜けている!
「ハンタ!ここからは俺も全力でやらせてもらうぞ!もはや小手先の調べは終わった!覚悟しろ!」
な!?今までは全力でなかったというのか?クロムの発言に驚いたハンタだった。ハンタは一瞬のぬかりもなく攻撃の手を緩めなかったが、それでもクロムにはまともにダメージを与えることができなかった。それが本気ではないということなのか?
(ああ、クロム様♡なんてワイルドなお方♡そうよ、やっぱり男はこうやって野生味があって闘争心にありふれている方が素敵♡)
レモンがクロムを見て心でそう悶える。ゴールドはレモンの様子を見てため息をつく、はあ、どうしてこいつは色恋なのだ。と。
クロムが禍々しい魔力オーラ全開でハンタに向かって歩み寄る。どうやら体のうちに秘めていた魔力をさらに解放したようだ。ハンタはそのクロムの魔力指数の高さに大いに驚愕していた。
(こ、こいつなんて甚大な魔力指数だ!もしかしたらコバルトよりも上かもしれない。けど、けどあたしだってここで負けるわけにはいかない!ここは緑の国だ!絶対にこの国を守ってみせる!)
ハンタは弓を構えるのをやめ、静かに目を閉じて深呼吸をした。大丈夫だ。まだ戦える。自分の内側に秘められた力を全力で解放しろ!こいつを超えるにはそれしかない!ハンタは自分にそう言い聞かせ、魔力全開でクロムを迎え撃つ!
「ハハハ!ハンタ!どうやら覚悟は決まったようだな!これから第二ラウンドと行くか!」
「望む所だ!来い!クロム!」
クロムがハンタに向かって構えるとハンタもそれに応戦し、弓を構える。さて、ここから本気になったクロムとの第二ラウンドだ。ハンタはゴクリと息を飲み、それを迎えようとしていた。




