83話 黄色い虎vs緑の樹人〜クロム・イエロー・タイガーvsハンター・グリーン・アルラウネ〜
「ブリーズアロウ!」
ハンタは樹属性の魔力を早速使用し、クロムに向かって矢を放つ。クロムはその矢の嵐を自身の持つ身のこなしで難なくかわしていく。
「ほう、弓矢を使うのか。これはすごいな」
クロムは余裕を持ってニヤリと不適な笑みを浮かべながらハンタの連射型の弓矢攻撃を掻い潜る。しかし途中から異変に気づく。
「ん!?なんだこれは!?矢の数が増えた?一体どうゆうことだ!?」
ハンタのブリーズアロウに対してクロムは不振を抱いた。最初とは打って変わって矢の数が増えている。しかもその数は半端じゃない数だった。
クロムは獣族である特性を生かし、地面を蹴り上げスイスイとかわしていく。しかしハンタのあまりの多すぎる矢の数に次第にかわしていくのも困難になり、正面から矢を受け止めた。
「雷帝 爆閃雷!」
クロムが右手を地面に振り下ろし叩きつけるとものすごいエネルギーの雷が地面からまるで温泉のように吹き出し、そこで爆発し、ハンタの矢を跡形もなく消し去った。ハンタは次から次へと矢を放つがクロムもそれに合わせて雷の爆発を地面に叩きつけて引き起こし、相殺した。
「馬鹿な!?あれは一体なんだ!」
クロムがハンタを見て驚愕している。たった二本の腕から放たれる矢の数ではない。そう思っているとハンタの肩や腕から何本も手が生えている。まるで千手観音のようだ。
「へへへへ。緑魔法、樹属性で使える植物を自在に操る力さ!あたしは運良く樹人族だからこんな技も使えるんだよん」
ハンタの発言にクロムだけではなくレモンとゴールドも驚いていた。まさかあんな奇怪な力を持っているとは!と。
「ほう、緑魔法は風属性だけと聞いていたが、樹属性のというものも使えるようだなこれは面白い!」
「へへへ!クロム!アンタこのあたしの弓矢をかいくぐれるかな!」
ハンタはそういうとますますクロムに向かって矢を放つ。その数は最初と比較にならないくらい多かった。まさに矢の嵐だ。
クロムはその弓矢の嵐に対してかわしたり防いだりするのが面倒になり、高く跳躍した。すごい!10メールとは飛び上がっただろうか?魔力も使っているが脚力もすごい!まさに獣と人とのハーフにしかできない芸当だった。
「宙に飛んだね!それを待ってた!鳥族みたいに空を飛べるわけじゃからこれは避けられない!食らえクロム!ブリーズバリスタ!」
ハンタが叫ぶと巨大な矢が宙に舞っているクロムに向かって飛ぶ。ハンタ渾身の一撃の必殺技。一点集中型のブリーズバリスタだ。
次の瞬間、なんとクロムは飛んでくる矢を右手を振るい、正面から受け止めた。
「雷鳴球芯!」
クロムの振り上げた右腕から巨大な雷の球体が放たれる。そしてハンタの放ったブリーズバリスタはその球体にものの見事に相殺され、跡形もなく砕け散った。
「な!あたしのブリーズバリスタを真っ向から受けて相殺した!?な、なんて奴だ!」
クロムはそのまま宙からハンタを目掛けて飛びかかった。そしてハンタに向かって自身の装備している鉤爪で斬りかかる。
「雷爪一閃!」
クロムの強力な電力を帯びた鉤爪がハンタに襲いかかる。ハンタは避けようとするがあまりのスピードに避けることは無理だと判断し、植物によるシールドで防いだ。
「ティンバーシールド!」
ハンタの右腕から巨大な木のシールドが出現する。クロムはそのままそのシールドに向かって斬りかかる。
バゴォーン!という音と共にハンタのシールドは砕け散り、ハンタはそのままクロムの雷撃を受け感電した。
「うわああぁぁぁー!」
ハンタは直立したままクロムの雷撃を浴びそこに倒れた。クロムはハンタから一瞬離れ自分の右腕を眺めたのちに倒れているハンタを見ながらどうも腑に落ちない様子でこう言った。
「・・・?おかしい?今ので仕留めたと思ったが、どうも手応えがなかった。それにあの一瞬のうちにあんなシールドまで生み出すとは!?どういうことだ?」
クロムが不思議がっているとハンタはそのあとどうにか立ち上がってクロムを睨みつけた。
「な!?クロム様のあの一撃をくらってまだ立ち上がるというのか!?さすがは緑魔族頭首!何という魔力耐性だ!」
ゴールドがハンタの様子を見てそう言った。クロムは手を抜くことなく全力で斬りかかったはず。それなのに平然と立ち上がるとは!
(クソ!な、なんて奴だ!あたしのブリーズバリスタを正面から受け止めたのちに平気であんな攻撃にうつるとは!そ、それにこの威力!)
(やはり致命傷には至らなかったか。並みの魔族なら今の一撃で跡形もなく消し飛んでいるところだが。これは一筋縄で勝てる相手ではなさそうだ)
ハンタとクロムは互いに相手の力量に驚いていた。どちらも今の攻防で仕留めたと思い込んでいたが想定外だった。互いに一歩も譲らない攻防!この先ハンタはこのクロム相手にどう戦っていけばいいのか必死で考えていくのだった。




