78話 緑の会議
4人はとりあえずキュルマの街に戻った。そしてヴィフレアの街での現状を聞いていたので、一旦転送魔法でキュルマの街からヴィフレアの街に向かい、ライト達と王宮で合流し、対策を考えた。
「そうか、あいつら、そんなことを企んでいたとは!」
ライトが拳をギューっと握りしめ、怒りに震えた。どうにか企みを見抜こうと必死だったが、そこまでは読めなかった。スプルースとミントの功績もあり、どうにか街の防衛には成功したが、アイビーがさらわれたことはショックは大きかった。
「申し訳ありません、ハンタ様。私が一番近くにいながら、アイビーをさらわれてしまいました」
「いや、エメラルドのせいじゃない。これはあたし自身が決着をつけなきゃいけないことなんだ。だから条件を飲んであたしは一人で向かうよ」
「そんなのダメよ!」
ハンタの決意にアプリコットとの死闘でもはや動くこともできない状態のミントが口出しをする。ミントは反対のようだ。
「ハンタ!これは罠よきっと!あなた一人をおびき出してまずはあなただけを倒して戦力を削ぐ作戦に出るつもりだわ!それに一人で行って致命傷をおったら誰があなたを連れて帰るの!?あの礼拝堂からキュルマの街までは20キロもあるのよ!」
「うん、ミント、それはわかってる。けどアイビーの命の方が大事だ。あたしはメイズの時、戦わず逃げた。そして他の魔族を失った。けど今度は逃げない!あたしはこの国の頭首として正々堂々戦う!それにまだあたしが命を落とすって決まったわけじゃない!だからここはあちらの要求を飲むしかない!」
ハンタが意を決して立ち上がる。ミントはこれ以上はなにを言っても無駄だとおもった。それにアイビーのことも気がかりだ。ここはもうハンタに任せるしかないだろう。
(黄魔族頭首、クロムか。一体どんなやつなんだ?頭首なのだからあのメイズよりも強いのか?)
コバルトは会話をよそにそんなことを考えていた。いつかはきっと戦わなくてはならない相手なのだろうと。そしてどんな力を持っているやつなのだろうと。
「ミント、ここはもうハンタに全てを託すしかない。それに向こうの頭首はおそらく一対一で戦いを望んでいるはずだ。だからハンタが一人でくれば大人しくアイビーを返すだろう。ただその時他に誰かがついていたりすればアイビーの命の保証はできない。だからアイビーが解放されてこちらに戻ってきた後に誰かが一目散に駆けつけるしかない」
ライトが口に手を当てながらそう話す。今ある状況でどう最善の行動をすべきかを必死に考えていた。
「けどあの礼拝堂は他の三国のすぐ国境付近にあってとても危険な場所よ!下手をしたら赤魔族にも遭遇する危険性があるわ!それに緑魔族でない他の魔族が目印もなくあの森に入っても絶対に抜けられないわ!あそこは北西の森の奥にあるのよ!」
「だから、地上からじゃなくて空から偵察できるものにたのむしかないんじゃないか、な!」
ライトがコバルトに向かって同意を求める。やはり最後に頼りになるのはお前しかない。それにどんな敵に遭遇しようがコバルトなら安心だ。
「はぁー、やっぱりコバルトにまた頼むしかないのね。ごめんね本当に」
「いいっていいって、俺たち仲間だろ?俺だってあそこに一緒にいてあのゴールドがなにを企んでるのか見抜けずアイビーをみすみすさらわれちまったんだ。これは俺の責任でもある。それにハンタ一人を危険な目にあわすわけにいかないからな。ま、ミント俺に任せてくれよ!」
コバルトがそういうとハンタとピュアは照れながらため息をついてしまった。ああ、やっぱりコバルト頼もしいしカッコいい。なんでこんなに頼りがいがあってカッコいいんだろ。もうそこにいる二人はメロメロだった。
(クソ!クソ!この方はなんでこんなカッコいいんだ!顔がいいだけじゃなくて強いし肝も座ってる!これはハンタ様が夢中になるのも無理はない)
エメラルドが悔しそうにその様子を見ていた。どうにかして憧れのハンタ様を振り向かせたい!けどこの男の前では俺なんかでは相手にならないだろう。悔しいと。
「よし、そうと決まれば善は急げだな。今こちらの戦力は俺ライトとコバルトとピュアとエメラルドだ。ミントとスプルースはもう戦えないから俺はこのヴィフレアの街に残る。もしまた黄魔族が攻めてこない補償もないからな。だからエメラルドとピュアとコバルトはあちらのキュルマの街を守ってくれ。頼んだぞ!」
ライトがそういうと四人はキュルマの街へ戻っていった。時刻は昼を回っていた。約束の時間まであと2時間。そこにハンタ一人で向かう。ライトは黄魔族の意向が何かまだ分からず不安でしかたなかったが、今はハンタとコバルトに全てを託すしかないと思っていた。




