77話 黄色い駆け引き
「クソ!貴様ら卑怯だぞ!アイビーを離せ!」
「ふ、ふえぇーん、エメラルドォ〜」
一瞬の隙を突かれアイビーを攫われてしまったエメラルドが怒りをあらわにする。クソ、アイビーの一番近くにいながら何という失態!
「いやあごめんね、あたしたちだって本当はこんなやり方したくなかったんだけどさ、これも命令で仕方ないんだよ」
レモンが先ほどとは打って変わって申し訳なさそうにそう言う。ゴールドはあいも変わらず不気味な笑みを浮かべていて嬉しそうだが、まさか初めからこんなやり方が狙いだったとは!
「とりあえず、それぞれ武器をしまっていただきましょうか。そして抵抗する意思がないことを我々に示さない限りはこの子供の命は保証は致しかねますが」
「わかった」
ゴールドの問いかけにハンタは魔力ポケットに弓矢をしまう。コバルトとエメラルドも同じように剣をしまった。そぢて丸腰で抵抗する意思がないことを示した。
「ふむ、大人しくしたがったようですね。ではそこの緑魔族の頭首、ハンター・グリーン・アルラウネ様、あなたにご依頼がありますがよろしいでしょうか?」
ゴールドがハンタを眺めて嬉しそうに話す。ハンタは怒りに震え、拳をギュッと握ったままゴールドを睨み付けていた。
「用件はなんだ?さっさと話せ」
「ククク、まあそう躍起にならず落ち着いてお聞きください。実は我らが黄魔族の頭首、クロム・イエロー・タイガー様より伝言を承っております。是非あなた様とお二人でお話がしたいと」
それを聞いた時、コバルトは驚いてしまった。黄魔族頭首だと!?そうか、初めからハンタとの一騎打ちを狙ってこいつらを派遣してきたというのか!?実力では敵わないことを知っていながら人質をとり、それと交換条件にハンタを倒すつもりか!?
「黄魔族頭首?ふーん、さっきレモンが言っていたクロムってヤツね。ああ、いいよ。あたし一人で出向いてやろうじゃないの!」
「フフフ、話が早くて助かります。ご安心ください。クロム様は一対一であなたとの決闘をお望みです。もちろんあなた様を卑怯な罠にかけたりなどは致しません。なのであなたも正々堂々お一人で来ていただきたく存じます。それはないと思いますがもしそこにいる青魔族頭首や他の従者などを連れてきた場合、疑わしき行動に出た場合などは」
ゴールドはそういうとレモンに縛られているアイビーに向けて口から閃光を放った。
ピュン!というすごい音と共にアイビーの顔面をかすめ、その閃光は奥にある木を貫いた。ドゴォーン!というすごい音と共に奥で爆発が起きた。光エネルギーによるレーザーのようだ。
「この子供を即座に殺します!」
アイビーは威嚇射撃とはいえ恐ろしいレーザーを向けられたことであまりの恐怖に涙を流しながらガタガタと震えていた。こ、怖い。殺される!と。
「・・・わかった。あんんたたちのいう通りにするよ。さああたしを連れていきな。アイビーと交換だ」
「おおっと、それはできませんねえ」
ゴールドがおちょくったような話し方で得意げにそう返答した。なんだ?まだ何かあるのか?
「ここで交換をしたとしても他の方々が後々ついてくる危険性もありますからねえ。なのでこれより4時間後、この緑の国と黄色い国の国境近くにある樹海の中にある礼拝堂の遺跡でお待ちしております。いいですか?ハンタ様お一人で来るのですよ。それではお待ちしておりますのでまた後ほど」
「ごめんね、ハンタ。これも命令だから仕方ないのよ。クロム様はあなたをお待ちしています。それでは」
そういうとレモンとゴールドは森の奥へとアイビーを連れて去っていってしまった。クソ!まさかこんな事態になろうとは!コバルトは最後の最後まで相手の思惑を見抜けなかったことに強い後悔を覚えた。
「ハンタ様・・・。」
エメラルドがハンタを見ると、ハンタは拳をギューっと握りしめ、唇を噛んでそこに立ちすくんでいた。同じ緑魔族を守れなかった自分の不甲斐なさが今のハンタに自責の念として大きくのしかかっていた。




