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蒼き輪廻の果てに 〜転生したら青い鳥だった件〜  作者: 水猫
第二章 「緑の国」
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74話 黄金と白

「ピュア様、ではまずお聞きいたします。あなたは本当に「白魔族」なのですか?」


ゴールドは突然変わった質問を投げかけてきた。それに対し、ピュアはきょとんとした表情を浮かべ、こう返した。


「あなた、な、何言っているのよ!?私は見ての通り、色が白くて魔力も使えるのだから白魔族に決まっているじゃない!」


「決まっている?ふむ、ではそれは誰が決めたのですか?あなたは白魔族についてどこまでご存知なのですか?」


ゴールドが不気味な笑みと共にピュアに対して次々と質問を投げかけてくる。ピュアはその質問に対し不確かな回答でしか、返すことができず、次第に不安にまみれていった。


「あなたが本当に白魔族であるならば他の2種類の魔族にも接触しているはずです。そう、灰魔族と黒魔族。それに元々白魔族は灰魔族がとある試練に打ち勝ち、勝ち取った姿だと言い伝えではあります。そしてそれは主に鳥族であったと」


ゴールドは戦闘の実力だけではなく、知能と知識も凄まじいものを持っていた。古文書や都市伝説にも熟知しており、黄魔族一の策士だったのだ。


「灰魔族・・・?黒魔族・・・?」


ピュアはその話を聞いたことはあったが、いざ聞かれてしまうと困ってしまった。元々この世界に来たときに人間たちと共存していた記憶はあった。自分が人間界にいた記憶もあった。しかしコバルトやハンタと同じく親や自分の名前など鮮明な記憶はなかったのだ。


「フフフ・・・。はい、古文書にこうあります。モノクロの魔族は三種類いて、もとは灰魔族から始まり、試練に打ち勝つと白魔族として祝福を得られ、負けると罪に溺れ黒魔族となる。それが正しければあなたは元は灰魔族だったはずです。灰魔族だったときはどうだったのですか?」


ゴールドの執拗な質問攻めにピュアは混乱してしまった。この世界に来てから自分が誰だかわからない。ただ言い伝えによると自分は白魔族であり、幸福の象徴とされ、青魔族に受け入れられ保護された。そしてこちらの世界に来てから、何かを探していた。そしてそれを見つけたはず。けど、けど。


(私、私は・・・!)


ピュアは自分自身が一体誰なのか、そしてなぜここにいるのか?段々とわからなくなってきてしまった。それはロイヤルやライトから自分に対する情報を聞いてはいたが、この色彩魔族において、自分と同じ色をもつ魔族が誰もいなかったからだった。


(私は一体誰なの?この世界に来た理由はあったはずだけど、それを、それを思い出せない・・・!)


ピュアはゴールドの質問に混乱し、頭を抱え込んでしまった。そして気が動転し、呼吸が荒くなり、自分自身を見失いかけてしまった。


「ピュア!よせ!考えるのをやめろ!」


コバルトが剣をしまい、慌ててピュアを抱きしめる。ピュアはコバルトの腕の中で放心状態になりかけていた。息が荒くなり、答えの出ない迷宮に迷い込んだように思考がまとまらなくなってしまった。


(フフフ、思った通りだ。この色彩によって分かれている勢力の中で自分と同じ色をもつ魔族がいない。それだけで自分を見失いかける可能性があるのにも関わらず、過去の記憶があやふやな中で新しい情報で問い詰められれば自我を保てなくなるのは無理もない)


コバルトはピュアが言葉巧みな精神攻撃にやられているのを見てこれはまずいと思った。いくら魔族であり、戦闘の実力はこちらが上であったとまだ精神的に成熟していないような年齢である。策士であり、知識人のゴールドはそこをついたのだ。


ゴールドの策略にまんまとハマってしまったピュア。思考が安定せず、呼吸が乱れる。コバルトはピュアを抱きしめながら、優しく頭を撫でてこう言った。


「ピュア、大丈夫だ。ピュアはピュアだ。大丈夫。大丈夫。俺が君のそばにいる」


「コバルト・・・」


ピュアはコバルトに優しく優しく抱きかかえられると段々と正気を取り戻していった。ああ、そうだ。コバルト。私、私はあなたを、私だけの青い鳥を、この世界で探しに来たんだった。


「白はすべての色において原点の色!そして何色に染まることもできる!そして金色は全ての色の頂点の色!さあ、白魔族ピュアよ!私の下僕となるがいい!」


ゴールドが高らかに羽ばたき、全身が金色に輝いた。そのあまりの美しさに三人は見惚れてしまい、今にも跪きそうになってしまった。ハンタは咄嗟に腰に携えている矢を自分の腕に刺し、何を逃れ、コバルトも剣を腕に突き立てどうにか自我をたもった。ゴールドのあまりにも美しい洗脳術にどうにか飲まれないよう、痛みでそれを防いだのだった。


しかしモロにその光景を目の当たりにしてしまったピュアはフラフラと立ち上がり、コバルトの腕から出てゴールドの方へと歩いていった。なにかに操られているようにそこへ向かっていった。


「ピュア!」


コバルトが叫ぶが、その声はピュアに届かない。ピュアは宙に浮かんでいるゴールドの下に行き、そこに跪いた。そしてその瞳はいつもあるピュアの白い瞳ではなく、金色になっていた。


(フフフ、思った通りだ。白という色は何色にでも染まる色。逆にいえば一番洗脳しやすい色でもあるのだ。こんな簡単に白魔族を下僕にできるとは。クロム様もこれでお喜びになるだろう)


ゴールドの洗脳術に完全に操られてしまったピュア。このまま青魔族や緑魔族から離れ、黄魔族の下僕となってしまうのだろうか?

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