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蒼き輪廻の果てに 〜転生したら青い鳥だった件〜  作者: 水猫
第二章 「緑の国」
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69話 緑の時間差攻撃

ものすごい風と雷の衝突が王宮前の広間で吹き荒れた。そのあまりの凄まじい魔力に王宮まで衝撃が届き、中ではビリビリとその魔力による波動が伝わった。スプルースはあまりの凄さになにもできない事を理解していたが、王宮から飛び出し、ミントの安否を確認しにいった。


二匹の風神雷神による魔力を使う剣士の衝突が終わった。そしてそこには刀を手放し地面に倒れているミントの姿と二刀の小太刀を持ち、立っているアプリコットの姿があった。


「ミ、ミント!」


地面に倒れているミントを見てスプルースは唖然とした。やはりいくらあのミントといえどアプリコットには敵わなかったか。スプルースはなんとかミントを救出しようと思ったが、アプリコットのあまりに強大な魔力を前になにもできずに震えながらそこに佇んでいた。


「だから言ったであろう、ミント。お前では俺には勝てぬと」


アプリコットが鞘に刀を納め、くるりとミントの方を向いて歩いて近づいていった。スプルースはこれはまずいと思い、どうにか助けなくてはと思ったが、どうしても恐怖で体が動かなかった。


すると次の瞬間、アプリコットの全身を何かが切り裂いた。アプリコットは黒装束を貫通するなんらかの斬撃を受け、全身に傷を負い、ブシュー!と血が吹き出した。


(な、なんだこれは!?)


謎の攻撃に全身を切り刻まれたアプリコットはその場にがくんと崩れ落ちた。そして自分の両手や体を見るとそこには血塗れになっている自分の姿があった。


「へへへ、ようやく効いてきたようだね。時間差による竜巻の鎌鼬攻撃!風はさ、雷と違って目に見えにくくて魔力感知をすり抜ける効果を持ってるんだよ。あの打ち合いであんたの体に強力な鎌鼬を巻き付けたのさ。それで動けばこうなる!」


ミント渾身の時間差による鎌鼬攻撃。アプリコットは全身を切り刻まれ、血だらけになりかなりのダメージを負った。


「な、ミント!これが貴様の切り札だというのか!こ、これが風神の力!くそ!敵ながら天晴れよ!」


「へへへ、アプリコット、あんたの間抜けなのはね、あたしのことを格下だと思って甘く見た事だよ。あたしは勝つつもりであんたに挑まなかった。初めからこうやって刺し違えるつもりだったんだよ。その覚悟を見抜けなかったあんたのミスさ」


(な、こいつ刺し違えるつもりだったのか!?なんて奴だ)


アプリコットはヨロヨロしながらも刀を地面につきながらどうにか立ち上がった。しかしミントは立ち上がることすらできなかった。最後の力を振り絞って全ての魔力をこの一撃に賭けたのだった。


「王宮にはまだスプルースがいる。いくらあんたが強いからってそれだけの手負いじゃあ戦いにならないでしょ!あんたもここで終わりだ」


「ふっ、それを言うならミント、お前はもう立ち上がることもできないだろう。止めを刺すくらいなら今の俺にもできるぞ」


「ああ、初めからその覚悟だよ、剣士たるもの、最後は敵に命乞いをするようなことはしない!さ、止めをさしな!」


ミントはそう言ってゴロンと寝返り仰向けになると空を見上げた。まさにまな板の上の鯉。覚悟は決まっていた。


(ハンタ、ごめん、あたしはここまでだ。あんたのこと最後まで面倒見れなかったね。さようなら。ライト、コバルト、ピュア、あとはよろしく頼んだ)


ミントが消え去りそうな意識の中、アプリコットは黒装束の魔力ポケットからゴソゴソとポーションを取り出し、それを半分飲んだ。そして傷がある程度塞がると、ミントの方へ向かって歩いて行き、仰向けになっているミントの口にそのポーションを注いだ。


(な、アプリコット・・・!あんた!)


ミントの口にポーションが注ぎ込まれる。ミントはそれを飲むと段々と意識を取り戻し、立ち上がることはできなくとも起き上がることができるくらいまで一瞬で回復した。


「ミント、よかった。まだ息絶えていなかったな。お前の言う通り、俺はお前を侮っていた。お前は想像以上に強かった。事実上引き分けだ」


「アプリコット・・・。どうして?」


ミントが不思議そうに悲しそうな目でアプリコットを見つめ問いかけるとアプリコットは真剣な眼差しでミントを見つめこう言った。


「ミント、初めに言ったであろう?命まではとらんと。そして俺はもう今回はこれ以上戦うことはできん。俺はここで退散させてもらう。生死の戦いには勝ったかも知れんが俺がここを落とせない以上、今回の戦いはお前の勝ちだ。だからお前を死なせるわけにはいかん」


「アプリコット・・・」


ミントはアプリコットのその真剣な眼差しに不覚にもときめいてしまった。キュン。あれれ?なんだこの気持ち?あ、あたしが好きなのはライトなのに、それにアプリコットは黄魔族で敵なのに・・・。


すると次の瞬間、王宮の扉が開き、中から大急ぎでライトが飛び出してきた。そしてミントとアプリコットの姿を確認するとものすごい勢いで向かってきた。


「ミント!無事だったか!アプリコット!貴様ミントになにしてやがる!」


ライトがものすごい剣幕でステッキから剣を抜き、アプリコットに斬りかかった。アプリコットは咄嗟に立ち上がり二刀の小太刀を構えその攻撃を受け止めた。


ギン!と言うものすごい音と共にアプリコットはそこから吹っ飛んだ。ライトのあまりに怒りに震えた一撃にアプリコットもそうだがミントも驚いていた。


(ラ、ライト・・・!いつもは居合い抜きで攻撃して絶対刀身を鞘から抜いたりしないのに。すごく怒ってる!)


ライトはアプリコットがミントから離れたのを確認すると、慌ててミントを抱き抱えた。


「ミント!ミント!よかった!無事だったか!よく俺が来るまであいつ相手に持ち堪えてくれた!」


「あ、ああ。ライト、ありがとう。うん、ごめんね、あたしあいつに勝てなかった」


「ミント、いいんだ。よく生きていてくれた!」


ライトがミントを抱え、瞬時に王宮の方へ向かい、スプルースにミントを託すと鬼のような形相でアプリコットに向かい威嚇した。


「アプリコット・・・!貴様よくもミントを!」


ライトの物凄い怒りの形相に今度はアプリコットが劣勢に追い込まれた。ミントに手負いの傷を負い、戦う力が皆無に等しい今、この怒り狂っているライトでは今の自分は相手にならない事を重々承知していた。

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